十勝川中流部川づくり報告会(第6回) 議事概要
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第6回 川づくり報告会議事概要
第6回 十勝川中流部川づくり報告会【議事録概要】
【開催要旨】
日時:平成27年3月21日(土曜日) 13:00~15:00
場所:とかちプラザ 視聴覚室
出席者数:52名
場所:とかちプラザ 視聴覚室
出席者数:52名
【議事要旨】
議事内容 | 確認事項 | 課題・その他 |
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開会挨拶 | 十勝川中流部市民協働会議代表(畜大:柳川教授)より、開催にあたっての挨拶 | |
帯広河川事務所から「教育機関と連携した川づくり」について発表 | 河川管理者より、十勝川中流部市民協働会議による活動内容と、それを通じて教育機関と連携した川づくりを行っている現状について説明 | |
十勝川中流部の工事進捗状況 | 河川管理者より、平成26-27年度の十勝川中流部川づくりに関連した、以下の内容について説明 1) 今年度の進捗状況 2) 来年度以降の工事予定など |
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十勝川中流部市民協働会議これまでの経緯 | 事務局長より、十勝川中流部川づくりワークショップから十勝川中流部市民協働会議への移行の経緯について、また、当会議が目指す活動主旨・活動方針について説明 | |
十勝川中流部市民協働会議平成26年度の活動経過 | 平成26年度(5-12月)における当事務局の活動を報告。 主な活動報告内容は、 1) 十勝大橋上流左岸において、農高生徒と協働に在来草本種子の播種 2) 相生中島地区上流湿地の湿地環境形成箇所について、河川管理者との立会等及び農高生との魚類調査 3) 途別川合流点上下流右岸において、帯工生と協働で草地デザインの計画検討及び在来草地種子の播種 4) タンチョウ餌台設置作業の報告 5) 音更川合流点下流左岸において、公募伐採に先立ち持続性広葉樹の移植作業 6) 途別川合流点下流右岸における自然観察エリアとして設定した閉鎖水域の魚類調査報告 |
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帯広工業高等学校からの報告 | 帯広工業高等学校の生徒(代表生徒3名)による発表 発表テーマ:『平成26年度における十勝川中流部川づくりの取組について』について |
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帯広農業高等学校からの報告 | 帯広農業高等学校の生徒(代表生徒4名)による発表 発表テーマ:『相生中島地区上流右岸における湿地環境の形成に向けた魚類等の生息環境の経過』について |
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帯広畜産大学からの報告 | 帯広畜産大学 柳川教授から発表テーマ:『十勝河中流部におけるタンチョウとの共存』について研究発表 | |
平成27年度の川づくり計画 | 当会議事務局から来年度の川づくり計画を説明 1) 相生中島地区上流湿地箇所における上下流伐採後のモニタリング 2) 相生中島地区上流左岸における掘削工事箇所終了のモニタリング 3) 途別川合流点上下流における掘削工事後の原生花園の創出 4) 相生中島地区上流湿地環境のモニタリング及び十勝大橋上流左岸における草地環境復元のモニタリング |
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質疑応答・意見等 | 十勝川の素晴らしさを後世に継承すべき、地域の多くの方々が関わることで成長していることを感じている。また、地域の環境づくりに地域が一体となった取り組みの一つとして高校生が関わり、本日の発表内容が素晴らしく感動を受けたことに感謝する等の意見を頂く。 | |
講評 | 今まで継続されてきた地域と一体となった活動・取り組みに対する成長・発展について、また、帯広工業・帯広農業高校の生徒が実施した活動や本日の発表内容について、当会議顧問の加賀屋室蘭工業大学副学長より講評を頂く。 | |
閉会挨拶 | 河川管理者から今までの多くの方々の参加並びに地域連携して頂いていることに対する謝意、そして今後の川づくり・地域協働活動に対して、行政としての協力関係の維持を表明して頂き閉会。 |
【発表概要】
○発表内容
発表者 |
発表テーマ |
発言者 |
要旨 |
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帯広工業高等学校生徒3名 | |||
十勝川中流部川づくり事業における今年度の取組について | - | 1) 平成25年度の活動について、 ・十勝川十勝大橋下流左岸において、掘削工事後の再樹林化防止対策として、在来草本による草地環境の復元を目指し、当時の1・2年生により河川管理者と十勝川中流部市民協働会議の皆様の協力のもと、草地環境復元のデザイン(案)を作成しました。 2) 平成26年度の活動について (1)途別川合流地点右岸の高水敷掘削後における草地環境の形成 ・既存の樹木帯及び内水域等との調和や周辺環境との接続等を踏まえ、河道掘削工事後の地盤状況を考慮した草地環境の平面デザイン作成を到達目標とし活動を開始しました。 ・十勝川中流部の観光資源や周辺環境の現状を踏まえ、草地環境の形成と周辺地域との利活用プランを考える上での現地見学会を実施しました。 ・草地環境復元グランドデザインの作成のために現場実習を行い、多くの現地状況を把握することが出来ました。そして、現場実習を踏まえ、各班で設計条件を考慮した平面デザイン(案)を検討・作成し、各班のコンセプトとデザイン内容を発表しました。 ・最後に各班のコンセプトを尊重しつつ、各班の平面デザインを連結する作業を行い一つの平面デザイン(案)を作成することが出来ました。 (2)草地環境復元地でのタンチョウ餌台の設置 ・私たちと十勝川中流部市民協働会議の皆様と協働して作成した草地環境デザインを基に測量・在来草本の播種・散策路整備及びタンチョウの冬期間の給餌場として餌台を設置することが出来ました。 |
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帯広農業高等学校生徒4名 | |||
豊かな命を育む湿地 ~河川流域の生態系に重要な役割~ |
- | 1) 十勝川流域の湿地環境の遷移 ・かつての十勝川流域は湿地環境に覆われていたが、河川整備事業と農地造成の影響により流域湿地の98%が消失し、結果、生物多様性の危機に面しています。 2) 湿地環境の形成と生物多様性の回復 ・現在の十勝川は未来へ向け多自然川づくりを基本とした整備事業として行政・市民・教育機関とが連携した「協働」による新たな川づくりが始まりました。 ・失われた湿地を私たち人間の力で新たに湿地環境を造成し湿地の力で生物多様性を回復する試みです。 ・対象地は平成24年に造成された約4haの掘削地で地下からの湧水と雨水で形成された湿地で、造成1年後には魚類の稚魚が確認されましたが掘削したままのタンチョウな水中環境では生物にとって住み良い環境とは言えない状況です。 ・調査結果から造成する湿地環境においては、生物の生息に適した湿地環境を作ることで生物多様性の回復につながるものと考えました。 3) H25、H26年度の活動 ・湿地環境の基礎資料として調査・計画・実験を実施、調査結果を基に湿地環境デザイン計画を作成し、生物の棲家となる漁礁を設置、その後の調査では魚類の確認が出来、次年度の本格実施へ向けた基礎を作ることが出来ました。 ・今年度は湿地環境づくりの本格実施と生物多様性回復への評価を目標に計画を作成しました。 ・本格実施は、環境デザインの計画に基づき水深・植生・河床に着目した環境づくりとして、水深の異なる環境の形成と湿地内には植生群落が少ないため、ヨシを移植することで新たな植生環境を形成しました。また、魚類の生息地拡大を目的とした漁礁設置範囲の増設を実施しました。 ・生物調査として、今年度は4回の調査を行い、昨年では見られなかった生物(ジュズカケハゼ)を確認、フクドジョウやウグイなどの全長等が大きくなるなど湿地を棲家として生物が成長していることを確認できました。 4) 生物多様性回復の評価 ・環境調査の専門家のアドバイスで、密度面積法による魚類の生息数全量推定の調査を実施、調査区を漁礁設置個所、水際植生箇所、水深の浅い個所、岸に接している箇所、岸に接していない箇所の5か所で魚類を捕獲、種類・大きさ・数を記録し、2年間の間に約2万個体の生命を確認でき多様な水中環境を形成から生物に対する有効性を確認できました。また、全量推定により指標となるデータを得ることが出来今年度の成果となりました。 5) 次年度への課題 ・野鳥や昆虫にも対象を広げた湿地環境づくりと全量推定調査の継続を行い生息種・生息数の変化を記録し、湿地の変遷と生物多様性の回復を見守っていきます。 |
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帯広畜産大学 柳川教授 | |||
北海道十勝川中流部におけるタンチョウとの共存 〔市民活動とアンケートからの考察〕 |
- | 1) タンチョウの背景 ・タンチョウは今から約150年前に絶滅しかかり現在では釧路・阿寒地方に多くが生息し近年の湿地減少や個体数増加などの影響で過密化となり、生息地の拡大・分散を目的に現在では十勝川河口から十勝川中流部に、さらに上流へと分散し続けています。 2) 本研究の目的 ・地元住民はタンチョウの生息地拡大に期待しているか? ・期待に影響する要因はあるのか? ・地元住民は保全活動への協力する意向があるのか? 3) 十勝における人とタンチョウの関係を図るためのアンケート調査を実施 ・十勝川温泉で観光業従事者にアンケート(観光資源) ・十勝川中流部の農家で聞き取り調査(農作物への食害) ・畜大の大学生と一般市民にアンケート(一般人の思い) 4) アンケート調査結果 ・観光業者へのアンケート調査結果では、主に今後の観光資源の一つとして観光の活性に繋げたいとの希望や感想であった。 ・農業従事者へのアンケート調査結果では、「豊かな自然の象徴」「姿が美しい」また「生息地の増加を期待する」回答もある一方で、「食害に対する不安」と「他の動物による被害(シカ等)が気になる」との回答も多い結果となった。 ・畜大生徒と一般市民へのアンケート調査結果では、共に「生息地が増えればいいと思う」の回答が7割を超えている。また、一般市民の回答では、多くの人がタンチョウを「豊かな自然の象徴」と思っている結果となった。 ・まとめとして、タンチョウ生息地の拡大に期待しており、また生息地拡大に期待している人ほど保全活動への協力へ意向があることが分かった。 |
○参加者からの意見・感想等
発言者 | 意見・感想 | 説明者 | 要旨 |
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河川管理者 | 地域一体となった活動状況についての感想 | - | 平成8-9年に十勝大橋の架け替え並びに千代田新水路の建設、十勝エコロジーパークの建設に伴い、この素晴らしい十勝川の今後について、当時から多くの人達と話し合いを持ち、その関わりが今日の成長の証となり、高校生との連携に繋がっていることに大変喜ばしく嬉しく感じています。今後もこのような活動の取組を続けていってください。開発局としても協力していきたいと思っています。 |
当会議事務局員 | 事務局としての感想 | - | この川づくりを通じて、地域の皆様との繋がり・出会いについて感謝しています。当会としても高校生との出会いを通じて川づくりに対する前進・評価を受け喜ばしく思っています。そして高校生の発表が素晴らしく、また瑞々しく深く心に染みわたりました。今後ともこの協働会議にご協力・ご指導頂き、本日出合った皆様には感謝し、感想とさせて頂きます。 |
○質疑応答
発言者 | 質問内容 | 発言者 | 要旨 |
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会議参加者 | 両高校生に対して、この活動を通じての感想を教えてください。 | 帯広工業高等学校生徒 | この活動を通じて、草地環境の復元を目指した平面デザインを検討・作成・種まき等、大変良い初めての経験をさせて頂き、本当にありがとうございました。 |
帯広農業高等学校生徒 | この活動を通じて、私たちが知らなかったことを学ぶことが出来、また、多くの方々からご指導を頂きありがとうございました。また、来年度も私たちへのご指導をよろしくお願いします。 |
○講評
発言者 | 発表テーマ | 発言者 | 要旨 |
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顧問 | 講評 | - | 1) 高校生の発表について 非常に心が打たれ感銘しています。またこの会議自体がますます発展していることかと感じました。特に高校生の皆さんが行っている活動は回毎に発展していると思っています。我々はダイナミックに考えながら一緒に着いて行くという事が大事なのかな、と感じております。 2) 帯広工業高校の活動について 掘削後の再樹林化防止対策として、河川敷に原生花園による草地環境の復元として空間デザインの作成・検討について、我々が普段良くやっているワークショップの工法をすでに高校生自身がスムーズに行っていることに感心しました。 このやり方は、これからの社会においても、いろいろな仕事をする場合においても、非常に大事なやり方だなと思っていますし、大いにそういったやり方を自分の物にしてこれからも行っていって欲しいと思っています。 3) 帯広農業高校の活動について 帯広農業高校の発表も何度も聞いており益々素晴らしくなっており特にプレゼンテーションが素晴らしい。伝統的に、先輩が作り上げたものに後輩がそれに加えて磨いてきているところが素晴らしいなと思っています。 また、湿地環境の形成について、湿地環境別に魚の魚種と数などを調べ上げて、トータルで約20,500個体という形の数字を出した、いろんな研究をしている我々にとっては、一つの研究のプロセスとしては正に模範的な考え方だと思います。 更に来年度は、科学的な評価の出し方で、多様性指数という簡単な計算方法があるので、この方法を使うことで多様性の変わり方も分かり易くなるので計算して頂ければ非常に分かりやすく発表が出来るのかなと思います。 4) 今後の取り組みについて 平成27年度は、モニタリング調査を中心とした活動が主となりダイナミックなものになっていくものと思います。 皆様一人一人が担い手となり、本当の意味での住民参加が展開されているこの会議が全国的にも類のない会議でありますので、益々発展し、多くの若い世代が出てきていますので、地域づくり・川づくりというのが世代を超えた集まりの中で我々は様々なディスカッションすることは非常に大事な考え方ですので、今後も皆さんの活動を期待しています。 |
○状況写真
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当会事務局員による司会進行
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当会事務局長から当会議の活動経緯について説明
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当会代表(柳川:畜大教授)からの挨拶
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帯広工業高校生徒からの発表
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河川管理者から「教育機関と連携した川づくり」についての説明状況
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帯広農業高校生徒からの発表
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河川管理者から26-27年度の工事説明
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帯広畜産大学(柳川教授)からの発表
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当会議から今後の活動予定報告
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高校生による感想発表(2)
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当会議副代表から報告会についての感想
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加賀屋顧問からの講評
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参加者から質問
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河川管理者からの閉会挨拶
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高校生による感想発表(1)
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第6回川づくり報告会の参加者風景