札内川技術検討会(第3回)
議事次第
場所:とかち館 1階 丹頂の間
1. 開会
2. 報告
(1)札内川懇談会の開催概要
3. 議題
(1)札内川ダム放流(平成24年6月)の状況について
(2)札内川自然再生(礫河原再生)計画書(案)について
4. 閉会
資料
議事概要
-
第3回札内川技術検討会の様子(帯広市内,とかち館にて)
第3回札内川技術検討会が平成24年8月9日(木曜日)に開催されました。
【第3回検討会の議題】
- 平成23年9月出水による変化について
- 河道内樹林化の原因分析について
- 礫河原再生の方策について
氏名
|
所属等
|
---|---|
泉 典洋 | 北海道大学大学院 工学研究院 教授 |
斎藤 新一郎 | 環境林づくり研究所 所長 |
中村 太士 | 北海道大学大学院 農学研究院 教授 |
藤巻 裕蔵 | 帯広畜産大学 名誉教授 |
丸山 純孝 | 帯広畜産大学 名誉教授 |
柳川 久 | 帯広畜産大学 教授 |
渡邊 康玄 | 北見工業大学 教授 |
【委員からの主な意見】
○ダム放流の結果について
オノエヤナギやエゾノキヌヤナギの実生は流されて見られなかったが、ケショウヤナギは多く見られた。ケショウヤナギにとって、非常に良いタイミングで放流が実施された。
放流により河道が期待したとおり変化した点は良かったが、放流の規模と継続時間は限られており、礫河原が大幅に増えるような激的な変化は見られなかった。
今後、ダム放流を継続していくことにより、平成23年9月の出水で回復した礫河原を維持していくことができると思う。
試験掘削箇所がきっかけになって変化したと思うが、掘削したから侵食が発生したというわけではなく、掘削してより動きやすくなったということだと思う。
どのような試験掘削を行った結果、どのような効果が得られたのかということを、今後より詳細に検討していく必要がある。
シギ・チドリ類の繁殖期と、放流時期との関係を調べておいた方が良い。
動物にとって、この時期の放流のリスクはゼロでなはい。礫河原が回復して繁殖地が増える効果と、放流の影響を総合的に勘案して評価すべきである。
○今後の試験施工方法と礫河原再生手法について
流下能力に影響を及ぼす可能性があるような河道内の樹木は伐採し、川の営力による側方侵食を期待するような施工も考えられる。適切な施工の方法や場所の選定を行うには、経年的に技術を蓄積していくことが重要である。
ヤナギ類は伐きり株を残すと萌芽ほうが再生(ひこばえ)して林に戻ってしまう。樹木伐採を行うのであれば、根まで抜き取るか、ひこばえを切除することが必要である。
試験施工箇所は、シミュレーションにより融雪出水規模の流量で河床変動しやすい箇所を予測して決定することも考えられる。
掘削した箇所を礫河原にするということではなく、施工がきっかけとなって川の営力により礫河原が創出されていく現象についても試してみると良いと思う。
・掘削という行為は初期条件づくりだと思う。樹木が繁茂して動かなくなった砂州において、樹木を取り除くことによって砂州を動かすような条件をつくっていけば良いと思う。
・平成23年9月の出水や融雪出水により礫河原の回復が見られた。過去の事例をもう少し掘り下げて、どのような条件で変動するのかを分析してみると良い。そのために、河床変動とそれを補完するような計算を行うことが考えられる。
・樹木が繁茂した場所は、きっかけを与えても動かない。動かせる場所をどのように見つけていくのか、樹木の管理や掘削の形状も含めて検討していく必要があると思う。
■「札内川自然再生(礫河原再生)計画書(案)」に関する意見・ケショウヤナギがモザイク的に分布していることが重要である。実生が定着する場所だけではなく、供給源となる母樹がどのような位置に生育しているのか把握する必要がある。