現在位置の階層

  1. トップページ
  2. 治水課
  3. 釧路湿原自然再生協議会 トップページ
  4. 第9回協議会 議事要旨

第9回協議会 議事要旨

第9回(平成18年1月31日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第9回協議会 議事要旨

挨拶

(会長)
トラストサルン釧路の杉沢委員とも相談したが、「釧路湿原自然再生協議会への提案」については今回は時間的に難しいので、次の協議会で各委員の意見を伺うことにしたい。(一同了承)

第2期後期 釧路湿原自然再生協議会の運営について

 事務局より第2期後期釧路湿原自然再生協議会の委員公募結果について報告があり、了承された。

第2期前期 収支報告について

 事務局より第2期前期の収支報告が行われ、了承された。

小委員会開催概要報告について

 第5回水循環小委員会、第5回森林再生小委員会の各委員長から小委員会で出された主な意見について説明が行われた。

(水循環小委員会開催報告 水循環小委員会委員長) 
  • 湿原内の河川水と地下水の関係が重要なので、湿原内の河川水位観測地点を増やすべきである。
  • 湿原内の構造物が湿原の水循環に及ぼす影響を早急に検討すべきである。
  • 被圧地下水は湿原の冬期間の熱量に寄与していると考えられるので、被圧地下水の水温を測定すべきである。

(森林再生小委員会開催報告 森林再生小委員会委員長)
  • 前回の協議会でのご意見を踏まえ、本実施計画では森林再生以外の施策については具体的な施策や目標までは触れずに、再生の方向性について示す程度に止めた。
  • 土砂の流入対策については、土砂の生産、流出の現状を踏まえ、事業計画に組み込む。
  • エゾシカの問題、育苗計画、特に樹木の種類によっては豊凶がはっきり出てくるので、計画を十分に検討すべきである。

達古武地域自然再生実施計画(案)について

 事務局より達古武地域自然再生実施計画(案)の内容について説明が行われた。

(会長)
森林再生の過程の概念図が実施計画(案)に示されているが、広葉樹のサイクルは何年位になるのか。

(委員長)
ミズナラを主体とする樹木は100年以上の時間が必要である。
森林再生の最終的な目標は自然林の再生であり、そこに数十年で到達することはできないと思うので、実施計画(案)を訂正したい。

(委員)
実施計画(案)の中に、動植物相が著しく「損なわれると考えられる」と遠慮した表現があるが、実際はかなり損なわれていると考えられる。早急に着手しなければならない対策と、中長期的な発生源対策をあわせて総合的に実施していくという内容の文章を入れてもらいたい。

(実施者)
達古武沼の自然環境についての今後の対策などを含め、実施計画の文章表現を考えたい。

(委員)
農家の目で山を見てきた意見として、カラマツ育苗後にミズナラの植林を行うと、栄養分がカラマツに吸い取られてミズナラが育たなくなるように思う。

(委員長)
自然林に再生する試みは、ほとんど経験がない。シカ、照度など色々な問題を踏まえて、モニタリングしながら実施していくことになると思う。

(委員)
実施計画(案)によると、達古武沼の水質が2000年頃を境に急激に悪化している。農業などの影響と示されているが、農業による面源汚濁だけでここまでは悪化しない。農地以外の点源があるのではないか。あるのであれば、早急に対策すべきである。
2000年頃にキャンプ場ができたので、その影響も考えられないか。

(委員長)
私も点源負荷があると思う。犯人探しの議論を行うのは好ましくないが、地域との合意を得てきちんと対処していかなければならないと思う。

(実施者)
原因とその対策については、流域全体として取り組んでいかなければならないと考えており、そのことについての調査が必要だと考えている。

(会長)
当計画についての質問、意見を十分に勘案し、実施計画策定に向けて進めていくこととする。

土砂流入対策実施計画〔久著呂川〕(案)について

 事務局より検討経緯、小委員会で出された主な意見について説明が行われた後、土砂流入対策実施計画[久著呂川](案)の内容について説明が行われた。

(土砂流入小委員会開催報告 代理(事務局))
土砂流入対策は、長期的に効果を上げていく対策と緊急的な対策を両方考えていく必要がある
緊急的な対策として土砂調整地は必要であるが、維持管理を考えているのか。
土砂の発生源対策が重要である。長期的な対策として森林再生は早急に実施すべきである。
モニタリング結果を踏まえた評価はいつ実施するのか。
河道安定化対策について、自然が自らの力で回復できるような対策になっていない。湿原上流の川の氾濫原がなくなったことが湿原に対して問題なので、できるだけ流域全体で考えてほしい。
緊急対策として理解はできるが、土地利用している人も含めてもっと自然な川づくりについて検討してほしい。

(会長)
実施計画(案)の「森林の再生などによる土砂生産の防止」で示されている久著呂川流域の裸地は現地視察ができるのか。6ヘクタールというと相当な広さになる。

(実施者)
裸地は航空写真で判読したものであるがかなり点在しているため、現段階では現地確認は行ってない。

(実施者)
6ヘクタールという面積は流域全体の1%も満たない。裸地で生産され、作業道や小河川を通じて久著呂川に流入する土砂もあるが、生産された全ての土砂が河川に到達するわけではないと考えている。

(委員)
湿原流入部土砂調整地や排水路沈砂池は維持管理をどのように行う計画なのか確認したい。

(実施者)
湿原流入部土砂調整地については釧路開発建設部が維持管理を行う考えだが、地元とも協働して行っていきたいと考えている。
維持管理の頻度は施設の容量に関係してくるが、施設容量は数十年分の容量を想定しており、頻繁に維持管理作業が必要になるとは考えていない。

(実施者)
排水路合流部沈砂池は、鶴居村と排水路流域の地元農家で組織する排水路維持管理組合との連携で適切な管理を図っていく計画で、地元とも話を進めている。

(委員)
事業の内容は工事ばかりで、自然再生には程遠いのではないか。床止工や沈砂地など、コンクリート構造物をつくったり発生した土砂を下流で受け止める対策ばかりが目立つ。自然を蘇らせるという考えが無いのではないか。再生事業として納得できない。
土砂を4割減らすとあるが、現状の4割というと相当な量だと思う。具体的にはトラック何台分の土砂量になるのか。

(実施者)
土砂量の分かりやすい指標については今後検討したい。1年当たりの量は、湿原より上流域の対策では720m³/年 、湿原流入部では620m³/年 溜まると試算している。
生産源対策である森林再生や河道安定化対策は重要な対策だと考えている。今すぐに計画に盛り込めない対策もあるが、今後計画を見直していく中で取り入れていくことは当然あると考えている。
中久著呂の河床低下区間は、土地利用への影響も懸念されるので緊急的に対応する必要があると考えている。
長期的に実施する対策と早急に実施しなければならない対策を並行して行う必要があると考えている。また、自然を蘇らせるという考え方を持って対策を実施したいと考えている。

(委員)
土木工事だけで川らしい川を蘇らせることはできないと思う。人工的構造物はいずれ壊れるし、構造物をつくらなくてもいいように自然再生を進めて欲しい。
川らしい川に再生する可能性はないのかということも含めて、夢があり、昔の久著呂川の自然が蘇ることが展望できるような取り組み案があってもいいと思う。

(実施者)
緊急対策として、河床低下の上流への進行を止める必要があると考えており、その対策として今回の計画が適していると考えている。
下流側については、段階的な施工を進める中で、より良い川にしていけるように評価、見直し等を行ないながら進めていきたいと考えている。

(委員)
細粒土砂と粗粒土砂の区分はどのようにしているのか。また、土砂の堆積や分布はどのように調査していくのか。

(実施者)
細粒と粗粒は0.075mm で区分しており、それより小さい土砂を細粒土砂としている。区分は実測に基づいて行う。
流れている土砂は浮游砂観測で実測し、堆積した土砂については堆積現場の土砂を採取して把握していきたいと考えている。流れている粗粒土砂については、継続して観測を行っているわけではないので課題も残っている。

(委員)
鶴居の農家は対策のことを知っていると思うが、標茶町の住民と対策について懇談を持ったことはあるのか。

(実施者)
標茶町役場に意見を伺いながら進めている。これから地元に意見を伺って、内容を詰めていきたいと考えている。

(委員)
直線化したことには理由があるはずである。農家が困っているから川を直線化したと思われる。周辺農家の当時の意見も確認しておく必要がある。

(委員)
堆積土砂の維持管理は地元と自治体で行うとあるが、どの程度の地元負担になるのか。
栄養塩類の軽減とあるが、土砂が堆積して栄養塩がたまったところではサケ科魚類に影響を与えたり、アオコ発生など色々な問題が発生する恐れがあるのではないか。

(実施者)
沈砂池については、地元としてどの程度の維持管理が必要になるのか調査中である。
地元農家が持っているトラクターの排土板を使うなど、多大な負担が生じることのないような管理方法を検討している。

(実施者)
栄養塩類の影響については、今後専門家に意見を伺いながら検討していきたいと考えている。現状で土砂が堆積し水が溜まるような箇所の状況を観察しながら、栄養塩類が与える影響について検討していきたい。

(会長)
沈砂池や土砂調整地には、必ず植物が生育するようになる。それがフィルター的な役割を果たすと考えられ、その点いついても検討が必要である。
既往の事例を参考に、どのような植物がどれくらい生育するようになるのか、土砂を捨てるときはどのように処理するのかということも含めて維持管理について検討していく必要がある。

(実施者)
協議会の前の検討委員会では、土砂を溜める機能だけではなく、環境学習の場としての利用についても議論していた。検討委員会での意見も踏まえ、活用方法の検討や植生の予測などを行いながら検討していきたい。

(委員)
生態系への影響まで考えるのであれば、沈砂池や調整地の形状も含めて管理の検討が必要になる。

(委員)
河道安定化対策については、洗堀を防止し、なおかつ自然を維持しながら実施していくことは自らの経験から非常に難しいことだと思う。色々な事例を参考に、無理なく安定的に維持できるような方法を研究してもらいたい。

土砂流入対策実施計画〔雪裡・幌呂地域、南標茶地域〕(案)について

 事務局より検討経緯、小委員会で出された主な意見について説明が行われた後、土砂流入対策実施計画〔雪裡・幌呂地域、南標茶地域〕(案)の内容について説明が行われた。

(委員)
今までの事業において、沈砂池をつくりデータをとったことは無いのか。

(実施者)
説明した地区以外で設置した事例は無い。

(委員)
沈砂池の形状、規模が農地の受益面積と合ってないように感じている。この沈砂池の長さ、規模で細粒土砂が溜まるとは思えない。
モニタリングして効果が上がらなかった場合の対応をどのように考えているのか。

(委員)
現在効果検証を進めている。畑に隣接している小排水路に日常管理できるような沈砂枡を設けることや、ソフト的な対策も含めて地元や市町村と連携しながら検討していく必要があると考えている。

(委員)
農家ができるソフト対策も実施計画に盛り込んだ方がさらに効果が期待できる。

(委員)
排水路沈砂池は、今まで設置されたことは無く、直接釧路川に土砂等が流れていた。釧路湿原の重要性を再認識して進めているものである。
事業の途中で何回か大雨があり、工事中の裸地が部分的に洗掘、崩落したが、先に沈砂池を設けたので沈砂池でかなりの量の土砂をためることができた。
平常の降雨や台風、融雪出水であればこの沈砂池で十分機能すると思う。沈砂池の効果についてはその都度チェックする必要があり、維持管理も行っていく必要があると思う。

(委員)
沈砂池を否定しているわけではなく、効果のある対策だと思っている。ただし、どの程度の効果が得られるのか検証する必要がある。所定の効果が得られなかった場合の対策や、ソフト対策なども十分検討しておく必要がある。

(実施者)
各農家で管理できることやソフト的な対策については、小委員会で検討し、有効性の高い対策については随時計画を見直して取り込んでいきたいと考えている。

(会長)
雪裡・幌呂地域、南標茶地域については、順応的変更も含めてこの計画で進めるということで了承したい。
久著呂川の実施計画案については、土砂調整地や沈砂池の維持管理について検討する必要がある。また、「川らしい川を蘇らせる」という技術論にとどまらない議論など、次の機会に議論したい。

その他

 事務局より、釧路湿原自然再生行動計画2006年度の具体的取組み、ワンダグリンダプロジェクト2006への参加者募集、久著呂川の実施計画案などについての鶴居村と標茶町における地域意見交換会の開催、今後の予定として各小委員会開催後第10回協議会を開催することについての説明が行われた。

現在位置の階層

  1. トップページ
  2. 治水課
  3. 釧路湿原自然再生協議会 トップページ
  4. 第9回協議会 議事要旨