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第17回協議会 議事要旨

第17回(平成24年2月15日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第17回協議会 議事要旨

議事1 :第5期(後期) 協議会構成員の公募結果報告について

 事務局から第5期(後期)協議会構成員の公募結果について報告が行われ、協議会委員相互で公募結果を確認した。

(会長)
・ 公募後の構成員は119名に上るが、出席者数は多くない。出席を促すことについて、今後事務局とも相談し、考えたい。
 

議事2 :第5期(前期) 協議会の収支報告について

 事務局から第5期(前期)協議会の収支報告が行われ、協議会委員相互で収支内容を確認した。

(会長)
・ 今後、このお金をどのように活用していくか、検討する時期に来ていると思う。
・ 本日の議事6で、今後の協議会の運営について議論する予定となっているので、その議事の中で議論していただきたい。

議事3 :各小委員会開催の結果報告について

 事務局から第7回~第10回湿原再生小委員会、第13回~第14回旧川復元小委員会、第14回~第15回土砂流入小委員会、第11回森林再生小委員会、第9回~第10回水循環小委員会、第17回~第18回再生普及小委員会の開催概要について報告が行われた。
 その報告に続いて、事務局、または各小委員会の委員長から、各小委員会の議論内容および挙げられた意見について報告が行われた後、内容について協議が行われた。

【第7回~第10回湿原再生小委員会 議論内容報告 事務局より】
【第13回~第14回旧川復元小委員会 議論内容報告 事務局より】
【第14回~第15回土砂流入小委員会 議論内容報告 事務局より】

(会長)
・ 広里地区は、議論をはじめたのが平成15年で、そろそろ10年が経過する。遮水壁による対策の検討や火事の実験をやられているが、それらが湿原再生の実施結果に結びついていくのか教えてもらいたい。

(事務局)
・ 広里地区の旧農地区域については、遮水壁による工事の実施に向けた調査、設計を含め、来年度には実施計画を作成する予定で考えている。
・ ハンノキについては、これまで伐採試験や年輪調査等を実施してきた。広里地区におけるハンノキ林の拡大については、1967年に発生した湿原火災が原因と考えられているが、その実証試験を行い、ハンノキ林拡大の原因を確認してから検討を行う予定で考えている。

(会長)
・ 研究とは異なり、湿原再生の取り組みは全て分かってから行うというものではなく、分からないことがある状況でも、ある程度のことが分かってきたら実施していった方が良いと思う。
・ 模擬燃焼試験は、燃やすことを手段とすることを考えて実施している試験なのか。

(事務局)
・ 燃やすことをハンノキが拡大していることに対する対処方法として考えているわけではない。湿原火災がハンノキ林拡大の原因となったのか把握するため、模擬燃焼試験を実施している。
・ 湿原火災が人為的によるものなのか、自然現象として起きたものなのか、判断することは出来ないと考えている。湿原火災によりハンノキ林が拡大したと解明された場合は、湿原火災が起きないように周知徹底していくなど、今後の取り組みについて検討していくことを考えている。

(会長)
・ 来年度、実施計画を作成する予定なのか。

(事務局)
・ 実施計画を来年度作成するという予定は考えていない。ハンノキの模擬燃焼試験を行い、5年間モニタリングを実施する予定で考えている。その間に、ハンノキに関する実施計画についても検討を進め、早いうちに実施計画を作成したいと考えている。

(会長)
・ 10年間も議論をしているので、そろそろ実施しても良いと思う。調査のための調査を続けていくのはあまり望ましいことではなく、湿原保全のための取り組みを進めていく方向でお願いしたい。

(委員)
・ ハンノキ拡大については、年輪を調査すればすぐに分かると思う。その調査は終わったのか。あるいは、その調査もこれから実施する予定なのか。

(事務局)
・ 年輪調査は平成17年に実施した。ハンノキの樹齢は40歳以下と判断されたことから、1967年に発生した湿原火災の後に拡大したと考えられている。

(委員)
・ そうであれば、ハンノキの拡大と火災との因果関係は、ある程度把握されていることになるのではないか。
・ ハンノキの樹齢はバラバラなのか、あるいは、湿原火災の後に一斉に出てきたのか。樹齢が揃っており、湿原火災の後に一斉に出てきたのであれば、ハンノキ拡大と火災の因果関係ははっきりすると思う。

(事務局)
・ ハンノキの出現年代はだいたい一致しており、湿原火災が原因だと推測されている。

(委員)
・ 湿原火災の後にハンノキが拡大しているのであれば、拡大した個体は新しい実生から出てきているということになると思う。あるいは、元から存在していたハンノキ林が火災で焼けて無くなり、萌芽更新で一斉に出てきたことも考えられる。種子散布による更新と萌芽更新のどちらなのか。

(事務局)
・ 種子散布による更新と萌芽更新の両方だと考えられる。樹齢40歳未満のハンノキと、20歳くらいのハンノキが多く確認されていることから、焼け残ったハンノキが萌芽更新したものと、実生が定着して成長したものの両方があると考えている。

(委員)
・ 立地条件等も影響していると思うが、ハンノキ林の拡大には実生、種子散布による更新が影響しているのではないか。単に、湿原火災があったから拡大したということにはならないと思う。

(委員)
・ ハンノキ林の問題については、湿原再生小委員会で検討が行われてきた。ハンノキについては二つの視点がある。一つは、広里地区のハンノキの問題である。もう一つは、釧路湿原全体でハンノキ林が拡大し、成長量が非常に大きくなっている原因を明らかにしていくという視点である。この結果を、湿原全体の将来のハンノキ林管理に活かしていきたいと考えている。
・ これまでの調査、検討では、栄養塩類の増加、湿原火災、水位の変動がハンノキ林の拡大に影響しているのではないかということが明らかになりつつある。そのことを明らかにしながら、将来の釧路湿原全体のハンノキ林管理や保全のあり方について議論を深めていく。そのような視点で、湿原再生小委員会において議論してきた。

(会長)
・ 実生、種子散布による更新、萌芽更新、火事の影響、水位変動など、色々なケースがあると思う、。ただし、その調査、検討だけを行うのではなく、ある程度のことを把握した段階で、湿原再生の取り組みを先に進めていくことも考えていく必要があると思う。

(委員)
・ 広里地区において、遮水壁の検討が行われている。水位を上げるには確実な方法で、地下水位を相当上げることが出来ると期待される。
・ 資料に遮水壁を実施した場合の地下水位のシュミレーション結果が示されており、地下水位が地表面近くまで上昇する結果となっている。この地下水位の上昇により、ハンノキに相当な影響を与えると思う。
・ ハンノキ林拡大の原因解明のために模擬燃焼試験が実施されていたが、火災が原因だと分かったとしても、火災が発生しないようにしていくということで、湿原再生の取り組みとしては直接的ではないと思う。栄養塩類についても、どのように対策していくのか、分からない部分がある。
・ しかし、地下水位を上げる対策については、ハンノキにも相当影響すると思う。遮水壁による対策とハンノキ林拡大の議論が別々に行われているようだが、相当関係していると思う。

(会長)
・ きっと関係していると思う。

(委員)
・ 旧川復元小委員会の報告の中で、茅沼地区の旧川復元により氾濫しやすくなり、ハンノキ林や他の植生が大きく変わってきたというモニタリング結果が示されていた。
・ 今後のモニタリングでは、ハンノキが枯れてどのような樹種、植生に変化していくのか、調査で把握していくことが有意義なことだと思う。

(委員)
・ 旧川復元小委員会の報告の最後に、委員からの意見として、「茅沼地区以外にも旧川復元予定箇所として4箇所程度挙げられており、その検討も必要だと思う」という意見があったようだが、その意見に対する今後の方針が決まっているのであれば教えてほしい。

(事務局)
・ 前回の旧川復元小委員会では、茅沼地区のモニタリングについて数年先まで計画しておくとともに、他に予定されていた4河川について今後どのように考えていくのか、次の小委員会で提案させていただくということになった。

(会長)
・ 差し支えなければ、他に予定されている4河川を教えてほしい。

(事務局)
・ 順不同だが、ヌマオロ川、オロベツ川、幌呂川、雪裡川の4河川である。

(委員)
・ 茅沼地区は、当初上流区間も含めて議論されていたが、事業として実施されたのは下流の1/3くらいの区間だと思う。その上流区間については検討課題になっていたと思うが、今後どのようにしていくか話し合われていれば教えてほしい。

(会長)
・ 上流区間は、旧川復元により水位が上昇し、農地へ影響が及ぶ可能性があるとして取りやめたという記憶がある。

(委員)
・ 茅沼地区は、今回事業を実施した区間の2倍程度上流まで旧川復元する計画で議論していた。しかし、その議論中に、上流半分の区間で絶滅寸前の水生植物であるイヌイトモが確認された。そのため、今回事業を実施した下流区間のみとした。上流区間についてはイヌイトモに影響が及ぶ恐れがあるため、今後も旧川復元する予定はない。
・ さらにその上流については、旧川復元により農地へ影響が及ぶ可能性があるため、実施することはないと思う。
・ 今後、旧川復元について検討する場合は、他に予定されていた4河川が対象になり、可能な河川で実施していくということになっていたと思う。

(会長)
・ 排水路合流部沈砂池に関する委員からの意見として、「このような補助事業を続けていただきたい」という意見があった。これは、現在は補助金が出ているが、将来的には農家の方に自力で行っていただくことになっているため、このような意見が出されたものなのか。あるいは、継続して、試験的に援助を続けながら実施していこうとしている取り組みなのか、補足説明をお願いしたい。

(委員)
・ この取り組みは、農村環境整備事業で実施されている。農村の環境を良くすることを目的として農林水産省で計画された事業で、現在、全国数千箇所で実施されている。排水路、用水路、農道付近の花畑等の環境整備を行ってきたが、この事業は平成23年度で終わることになっている。来年度も類似した事業が計画されているようだが、まだ決まってはいないと思う。
・ 釧路湿原の保全を目的とした排水路での対策、農村の環境の改善、緑地化等もこの事業で実施可能となっている。この事業を継続していただいくことによって、排水路合流部沈砂地の維持管理も続けていくことができる。
・ 私たちは、現在7本の排水路で土砂上げを行っているが、土砂が溜まっているのは2~3本で、あとの排水路はわずかしか溜まっていない。
・ 現在の取り組みを行うには、年間で200~300万円必要になる。これを個々の農家が自前で行うことは難しい。現在の事業を続けていただくことにより、排水路での土砂上げも続けていくことが出来る。

(会長)
・ このような事業は、通常は実施期間が決まっている。どうしていけば良いのか。協議会として何か活動できることはないか。

(委員)
・ 協議会として応援していただけるのであればありがたい。現在、5年ごとの事業計画になっているが、日本の農村が良くなるのも悪くなるのもこの事業にかかっている。
・ 営農者の高齢化により、自分の土地さえも満足に維持管理していくことができない状態になっている。現在の事業は、町ぐるみで農村を良くしていく取り組みで、このように大きな組織の釧路湿原自然再生協議会に応援していただくことによって、政府もそれなりに考慮してくれるのではないかと思う。

(事務局)
・ 現在、平成24年度の予算審議が国会で進んでいる。現在の事業は、平成23年度で終わることになっているが、引き続き実施していくことができるように準備をしている。
・ 農村の環境保全、農村の地域政策に関連して、このような取り組みが全国的に展開されており、農村社会の維持・保全を目的とした地元の団体が数多く組織されている。
・ 高齢化が進行している中で、自分たちの農村の環境をなるべく自分たちで維持していくことができるよう、国、北海道、市町村が負担を行い、この活動に取り組んでいる。5年ごとに計画を見直していく仕組みになっているが、地元から要望していただくことにより、引き続き検討が行われることになる。

(会長)
・ このような取り組みを続けていただくことは素晴らしいことなので、協議会としてどのように応援することができるのか、その応援の仕方を教えてもらいたい。

(委員)
・ いまの排水路合流部沈砂池での取り組みは象徴的だと思う。全国では、自然再生協議会として独自の取り組みを行いながら、関連事業とのネットワーク化を図り、自然再生事業の一部として位置づけて実施していく取り組みがはじまっている。
・ 本協議会も、釧路湿原を守ることに限らず、関連事業事業や産業の分野とも連携して取り組んでいくことが全国の傾向にも沿っていると思う。

【第11回森林再生小委員会 議論内容報告 事務局より】
【第9回~第10回水循環小委員会 議論内容報告 事務局より】
【第17回~第18回再生普及小委員会 議論内容報告 高橋委員長より】

(会長)
・ 水時循環小委員会でつくったモデルは、幌呂地区の湿原再生の検討に使われたということで、大変すばらしいことだと思う。今後、様々な釧路湿原の地下水の問題についてもこのモデルで検討していくことができるようになったので、良かったと思う。ただし、このモデルは公開にはならないようだ。使いたい方がいるかもしれないが、所有権があるようで、誰にも使えるということにはならないようだ。
・ 再生普及小委員会の高橋委員長から報告が行われた取り組みについては、是非、引き続きおこなっていただきたい。中標津空港から摩周、阿寒の方まで行くフットパスをつくり、皆で歩こうという取り組みもあったと思う。あのような取り組みが釧路湿原であって良いと思う。

(委員)
・ 考えてみたい。

議事4 :幌呂地区湿原再生実施計画(案)について

 新庄委員長より幌呂地区湿原再生実施計画(案)に関する湿原再生小委員会での検討経緯等について報告が行われた後、事務局より幌呂地区湿原再生実施計画(案)の説明が行われた。
 内容について協議された結果、会議で出された意見を踏まえて策定に向けた手続きを進めていくことが確認された。

(委員)
・ 実施計画(案)のp.19に課題が整理されており、河川の切り替えと排水路の整備だけが要因になっているが、客土や牧草の播種等の農地改良的なことも実施されていたと思う。実施計画(案)の後半に地盤切り下げについて記述されているが、地盤の切り下げは相対的に地下水位を上げるためだけに行うのか、表層に積まれたものを取り除く目的もあるのかはっきりさせるためにも、客土の敷均し等も要因として整理した方が良いのではないか。
・ 実施計画(案)のp.22~23は、事業の目標達成のための手法をまとめたページだと思うが、p.22はモニタリングの内容が記載されている。この図の中に「A区域の北側は事業前後で環境の変化が無いと予測される」と唐突に記載されているが、本来は事業の手法について先に記載し、その後ろに、それに対するモニタリングについて記載すべきだと思う。なお、p.22の図は中村先生の図なので、出展を記載した方が良い。
・ p.23には事業の説明が記載されているが、「4案を検討した」と非常に簡単に記載されている。地下水位シミュレーションの結果や地盤切り下げの現地試験の成果、排水路を全て埋め戻した場合の影響の予測結果等、簡単にでもそれらを示し、現在の対策案の採用にいたった経緯を記載すべきだと思う。
・ p.25には配慮すべき植物について記載がある。単なる記載ミスかもしれないが、レッドデータブックには、絶滅危機種、絶滅危惧種、絶滅危急種の3つのランク分けがあるので、修正した方が良い。
・ p.26には植物の表が記載されているが、これらの種すべてに配慮するのか、絶滅危惧Ⅰ類以上だけに配慮するのか分からなかった。また、単にレットデータブックのランクだけを見て配慮するのではなく、現地でのそれら植物の生育状況、生育地の特性も考慮した方が良い。全て移植すてば良いというわけでもないので、もう少し整理された方が良いのではないか。
・ p.31に、地盤の切り下げは水位の10センチメートル上方まで行うと記載されている。これについても、具体的な実験結果と一緒に示した方が、どのような効果を期待して実施する取り組みなのか分かりやすいと思う。
・ モニタリング評価のところ水位データ等が示されていたが、前から順番に読んでいくことを想定すると、事業の手法について説明しているページに記載した方が分かりやすいと思う。

(事務局)
・ いま委員からご質問あった内容については、別途作成している参考資料にほとんど記載されている。また、p.22の図の出典については、p.22の下の方に記載している。
・ 参考資料ついては、湿原再生小委員会の委員の方々に送付させていただいている。実施計画本文には、あまり詳細な部分は掲載していないが、参考資料にはいまほ質問あった内容についても記載してある。

(委員)
・ 実施計画として確定するのは、この実施計画本文だけではないのか。参考資料も添付された状態で審議されるのであれば、実施計画本文に参考資料のどこを参照すれば詳細が記載されているのか注釈をいれておくと分かりやすいと思う。

(会長)
・ この場で細かい事項までチェックできないが、p.19の要因について、客土に含まれる牧草の埋度種子の問題については、どうなのか。牧草の種子の問題があるために表土を除去するのか、あるいは、相対的に地下水位を上げることだけが目的なのか。
・ 掘削した表土で未利用排水路を埋め戻すことになっているが、埋め戻す際に牧草の埋度種子の問題は考えなくて良いのか。

(事務局)
・ どの程度置土されたのか、現地で数箇所調査を行っている。置土の厚さは概ね30センチメートルから40センチメートルで、置土が実施された過去の経緯等についても参考資料に記載してある。
・ 地盤の切り下げは、過去に置土された土を取り除くこととし、その下の湿原の泥炭については、保全、保存していく計画としている。

(会長)
・ 全て参考資料に頼られると、分かりづらくなる。最小限の情報は、実施計画本文に記載した方が良い。
・ 例えば、先ほど委員から指摘があったp.23の4案検討の部分については、確かに分かりづらい。これであれば、逆に4案と書かない方が良いと思う。
・ 実施計画本文だけを読む人を前提として、最小限の情報は実施計画本文にも記載した方が良いと思う。
・ p.25のレットデータブックに関する記載については、危急等と記載されているが、「絶滅」という言葉が抜けているということか。

(委員)
・ 抜けていると思う。また、p.25の文章とp.26の表の整合が取れていないようだ。どちらの考え方を採用するのか分からなかった。

(事務局)
・ その部分については、実施計画本文を修正する。

(委員)
・ 先ほど、委員から埋土種子について指摘があった。湿原再生小委員会でも同様の意見がある、専門の先生方に検討していただいた結果、埋土種子が含まれている土を未利用排水路の埋め戻しに利用しても、水没させることになるので埋土種子から発芽はしないだろうという話をいただいた。
・ むしろ、別の場所から持ってきた土を未利用排水路の埋め戻しに使用するより、埋土種子が含まれていたとしても、幌呂地区の地盤切り下げにより発生した表土を埋め戻しに利用する方が良いということになった。

(委員)
・ 埋土種子については常に話題になるので、それに関する実験を行っているのであれば、その結果も明示した方が間違いないと思う。

(会長)
・ 根拠を明示した方が良い。

(事務局)
・ 先ほど委員から、埋め戻しを行う排水路の位置が分からないというご指摘をいただいたが、実施計画(案)p.28の図中に緑色の線で示した区間が埋め戻しを行う排水路区間になる。

(委員)
・ p.28の図は、未利用排水路の埋め戻しについて記載している箇所に移動した方が良いと思う。文章と対応するように図を示した方が分かりやすいと思う。

(会長)
・ 今回の実施計画でまとめられている対策の内容は、A、B区域の未利用排水路の埋め戻しと、A区域の地盤の切り下げである。これについて何か意見があればお願いしたい。

(委員)
・ p.32に地盤切り下げ前後のイメージ図が掲載されている。実施後の図に「ヨシ分布」と記載されているが、これは地盤切り下げ後に自然に回復するイメージだと思う。ただし、その隣にはホザキシモツケの植樹について記載されているので、ヨシの自然回復を期待しているのであれば、そのこともはっきり記載した方が良いと思う。埋土種子による自然回復を期待するのか、周辺からの種子散布に頼るのか、人工的に植栽するのか、その点についても話題になることが多い。

(会長)
・ 私も湿原再生小委員会に出席し、2回くらい議論に加わった。非常に細かい検討が行われており、先ほどの水循環シミュレーションの結果も活用しながら、最小限の工事で大きな効果を上げる方法について検討が行われ、計画に反映されている。
・ この実施計画(案)をお認めいただくということでよろしいか。(異議なし)
・ ありがとうございました。それでは、この幌呂地区湿原再生実施計画(案)を本協議会として承認し、以降の手続きに入っていくことにしたい。

議事5 :釧路湿原自然再生5年目の施策の振り返りについて

 事務局または小委員会の委員長から、各小委員会における5年目の施策の振り返り結果について報告が行われた後、内容について協議が行われた。

【湿原再生小委員会 5年目の施策の振り返り 事務局より】
【旧川復元小委員会 5年目の施策の振り返り 事務局より】
【土砂流入小委員会 5年目の施策の振り返り 事務局より】
【森林再生小委員会 5年目の施策の振り返り 事務局より】
【水循環小委員会   5年目の施策の振り返り 事務局より】
【再生復旧小委員会 5年目の施策の振り返り 高橋委員長より】

(会長)
・ 各小委員会で具体的な点検が行われている。再生普及小委員会において非常に詳しく点検が行われているが、当然のことながら簡単にはうまくいかない課題も残されている。それら課題にうまく対処し、各取り組みを進めることができるように、各小委員会で努力していただきたいと思う。

(委員)
・ 再生普及小委員会の施策の振り返り結果(5)において、「外来生物問題は、釧路湿原の生態系に深刻な影響を与えている」と報告されたが、表現が非常にきつい。深刻な影響とは、具体的にどのような影響なのか。

(事務局)
・ 釧路湿原では、ウチダザリガアニ、オオハンゴンソウ、マルハナバチ、ミンクといった外来生物、特定外来生物が確認されている。在来生物にどのような影響を与えているのか、詳細に把握されているわけではないが、特定外来生物については法に基づいて駆除活動を行っている。
・ 特定外来生物による在来生物へ影響が指摘されていることいから、ここでは「深刻な影響を与えている」と記載した。

(委員)
・ 釧路湿原では、具体的にどのような影響を与えているのか。

(事務局)
・ 例えば、絶滅危惧種のニホンザリガリが生息していた箇所において、現在はニホンザリガニが確認されず、ウチサザリガニばかり確認されている事例がある。
・ オオハンゴンソウについては、ここ数年間で生育範囲がかなり拡がっており、国立公園内の特別保護地区、在来の湿原植生が生育している箇所でもオオハンゴンソウが確認されるようになっている。
・ そのように色々なケースがあると考えている。

(会長)
・ 意図するところを教えてもらいたい。実際に外来生物は増加している。

(委員)
・ 事務局からの説明は、一般論だと思う。例えば、オオハンゴンソウが繁殖して何が消失したのか、ウチサザリガニが増加して何が減ったのか、そういう具体的な中身がない。

(会長)
・ 外来生物による影響を具体的に調査すべきということか。

(委員)
・ そのように考えている。「深刻な影響」の内容を具体的に示してほしい。

(委員)
・ 5年目の施策の振り返りは、全体構想策定後の5年間の取り組みを振り返って、今後について考えるために行ったものだと思う。いま委員が指摘されたことも含めて、今後の5年間に向けて必要な見直しを行うことが次のステップになると思う。
・ そのような見直しについて各小委員会で議論し、全体として振り返るという作業が必要になると思う。

(委員)
・ 専門性に応じて、それぞれの小委員会で議論してもらった方が良いと思う。再生普及小委員会で全てについて議論するのは難しいと思う。

(会長)
・ ご指摘のとおりだと思う。専門家に調査していただいたデータ、把握された事実を参考にして、今後協議会で考えていくことになると思う。どちらかというと、5年目の施策の振り返りの中で、危機感ばかり煽るような表現は避けた方が良いと思う。
・ その他、鹿の問題については、どこかで検討、議論されているのか。鹿が増え、湿原植物を踏み荒らしているという話をよく聞く。空中写真でもその状況がよく分かる。そのように、これまであまり議論されなかったことについても、頭に置いておいた方が良いと思う。

議事6 :協議会の運営について

 前回の第16回釧路湿原自然再生協議会において提起された今後の協議会の運営について、協議会構成員の渡辺委員から説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
・ 渡辺委員からの提案は、本日の資料p.44以降に添付されている協議会設置要綱の「第6章 運営事務局」に係ることだと思う。第6章では、現在の運営事務局の構成、担当する事務の内容等が定められている。
・ 現在の運営事務局と渡辺委員も入れて、設置要綱第6章の改定、あるいは事務局費の取扱いに関する細則を新たに設ける等の対応が必要になると思う。
・ 設置要項の改定や細則について、小委員会あるいは協議会に諮り、この提案について早急に議論した方がよいと思う。

(会長)
・ ご指摘のとおり、設置要綱の改定等について議論した方が良いと思うが、いかがか。

(事務局)
・ 委員からの提案については、議論していきたいと考えている。

(会長)
・ 本日の議事2で報告されたとおり、これまで協議会に70数万円の寄付金が寄せられている。今後、必要に応じて財団等からの補助金の申請等を行っていくことも考えられるが、寄付金をこのまま持っているだけではなく、運用していくことも考える時期にきているのではないか。
・ 郵送費等、事務局の必要経費を寄付金で支出していくことについて、ご意見をお聞きしたい。

(委員)
・ 全国の自然再生協議会の中には、寄付を積極的に集めて、自然再生事業費として活用しているところもある。また、これから戦略的に寄付を集めて、取り組みを進めていこうとしている協議会もある。
・ 釧路湿原自然再生協議会では、これまでそのようなことについては検討してこなかった。これを機会に、釧路湿原再生基金等を立ち上げるか、寄付金の運用方針等についてワーキンググループをつくって早急に検討してはどうかと思う。その上で、基金や寄付金の運用等について、協議会として議論していく必要があると思う。

(会長)
・ 今回の協議会の開催にあたり掛かった費用については、今回は寄付金から支出するということでよろしいか。

(委員)
・ 現在は、設置要綱で定められた運営事務局がある。渡辺委員が自腹を切ることは良くないので、設置要綱の改定や寄付金の運用に関する細則ができるまでは、運営事務局が責任を持つべきだと思う。

(委員)
・ 私たちも、「農地・水保全隊」をつくるときに色々議論したが、やはりお金は必要だという結論になり、農林水産省の事業を活用して実施している。
・ 協議会の運営にもお金が必要なので、会計についてはボランティアでなく、お金を出し合ってやっていく必要があると思う。

(会長)
・ いまのご提案の方針で行っていきたいと思うが、お金が動くので、その管理の仕組みもしっかり整えていかなけらばならない。今まで、行政にお願いしてきたが、我々としても、もう少し整備していく必要があると思う。事務局から何か意見があればお願いしたい。

(事務局)
・ この場で即答することは難しい。持ち帰って検討させていただきたい。

(会長)
・ 会長のポケットマネーで支払っても良いが、どのような方法を取るにせよ、渡辺委員が自腹を切らなくても済む仕組みにする。寄付金の取り扱いも含めて、事務局とも相談して検討していきたいと思う。事務局もそれでよろしいか。

(事務局)
・ はい。

(委員)
・ 地域に貢献していく、市民参加を勧めていくということを具体的に考えると、再生普及小委員会で出来ることには限界がある。一方、小委員会間の連携の仕組みが出来上がっているとは思えない。その点について、協議会として一度検討してみる余地があると思う。
・ 三点ある。一点目は、再生普及小委員会は情報発信の手伝いを行う立場であるが、協議会全体としての情報発信の戦略を、一度議論しても良いと思う。行動計画ワーキンググループのページを使って、ブログを作って情報発信することを始めているが、協議会全体としての方針を議論する機会があっても良いと思う。
・ 二点目は、市民参加の機会を作っていくことに関して、地元の方がモニタリングに参加していくことを協議会全体の取り組みとして行っても良いと思う。これまでで、幌呂地区や森林再生の現場の見学会を行ったが、全体に広げていくにはどのような方法が考えられるのか、検討しても良いと思う。
・ 三点目は、鶴居村で観光と連携した取り組みができないか検討しているが、自然再生事業として実施していること、流域全体として取り組んでいることにより、地域にどのように貢献していくことができるのか、再生普及小委員会だけではなく、協議会でも意見交換できれば良いと考えている。

(会長)
・ 具体的にどのようにやっていくべきか、なかなか難しい問題である。例えば、今日は議事が6つあり、説明だけでもかなりの時間を要した。報告会のようになると議論できないし、協議会全体でしっかり議論しようとすると1日かかってしまうかもしれない。
・ 各小委員会が縦割りになってしまうのは問題なので、協議会としてどのようにしていくべきか、ご意見をお願いしたい。

(委員)
・ 渡辺委員から提案されていたが、ワーキンググループが設置されれば、そこでの議論は可能だと思う。
・ また、各小委員会の委員長や委員長代理、事務局が集まり、今後の方針について話し合う方法も考えられる。それがワーキンググループということになるかもしれない。
・ 行動計画ワーキンググループでは、地元の方の参加の機会をつくっていくために、各実施計画の事務局の方に出席していただき、アイディアを出していくことを試行的に行った。
・ 再生普及小委員会がそのような呼びかけを行っていくことはできると思う。

(会長)
・ ワーキンググループをたくさんつくっても、出席するメンバーが固定化し、そのメンバーに相当な負荷がかかることも考えられる。バランスを考えて議論していきたいと思う。

(委員)
・ 釧路湿原自然再生協議会が総会のようになっている。かつては、この協議会でも、いくつかのグループに分かれて、午前中は各グループで議論し、午後は全体で議論するという分科会と全体会議を組み合わせて1日かけて行ったことがある。
・ それを何回も行うことができないため、各小委員会で詳しい議論を行うようになった。今後は、いくつかの小委員会合同で議論する、あるいは、協議会を複数回開催するということも考える必要があると思う。

(会長)
・ いくつか提案をいただいた。今後、議論していきたい。

その他

 事務局から、釧路川茅沼地区の蛇行復元、通水にあわせて行うことを計画してい るフィールドワークショップ、発表会、意見交換会の予定について説明が行われた。

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