札内川技術検討会(第7回)
議事次第
場所:とかち館 1階 丹頂の間
1. 開会
2. 議題
・礫河原再生の取り組みについて
・情報提供
3. 閉会
資料
議事概要
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第7回札内川技術検討会の様子(帯広市内,とかち館にて)
第7回札内川技術検討会が平成26年3月10日(月曜日)に開催されました。
氏名
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所属等
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泉 典洋 | 北海道大学大学院 工学研究院 教授 |
伊藤 丹 | (独)土木研究所寒地土木研究所寒地水圏研究グループ寒地河川チーム 上席研究員 |
斎藤 新一郎 | 環境林づくり研究所 所長 |
中村 太士 | 北海道大学大学院 農学研究院 教授 |
藤巻 裕蔵 | 帯広畜産大学 名誉教授 |
丸山 純孝 | 帯広畜産大学 名誉教授 |
柳川 久 | 帯広畜産大学 教授 |
矢部 浩規 | (独)土木研究所寒地土木研究所寒地水圏研究グループ水環境保全チーム 上席研究員 |
渡邊 康玄 | 北見工業大学 教授 |
オブザーバー | (独)土木研究所寒地土木研究所 |
【第7回検討会の議題】
- 礫河原再生の取り組みについて
- 情報提供
【委員からの主な意見】
資料(1)「1.礫河原の維持」及び「2.礫河原の再生」について
(旧川引き込みの効果、河床変動予測(iRIC)の結果について)
・旧川流入部の微妙な高まりを除去して、放流することで自然と河道が動くという状況がiRICで予測された。この予測結果のとおりうまくいくのか今後検証していく必要があるが、期待できる予測結果だと思う。
・旧川に水を引き込むことによって旧川の無次元掃流力τ*が0.05を上回る一方で、主流路の無次元掃流力が下がる部分もでてくると思う。
・融雪出水後に発生する夏期出水による河道維持の状況などの予測にも取り組んではどうか。
・予測計算により比較的大きな出水が発生した場合には複列状の流路が形成される傾向が見られた。また、ダムの放流を継続することにより、旧川が維持できる傾向も見られた。このことから、旧川への引き込みによる礫河原の再生が大いに期待できるのではないか。
(流木からの萌芽〔ほうが〕について)
・ヤナギ類は、実生から生長していく個体より、流木から萌芽〔ほうが〕再生(ひこばえ)して増加している方が多いのではないかと考えている。流木を確認した場合は、短く伐って萌芽させないようにする方法も考えられる。
・樹林化によって流木の量が多くなるという問題と、流木からの萌芽、栄養繁殖により樹林化がさらに進行してしまうという問題がある。
資料(1)「3.礫河原再生の目標」について
・「礫河原再生の管理幅」の外側の河畔林をどのように管理するのか、検討しておく必要がある。
・平成23年9月の洪水が発生したときに、樹木が流されるなど大きな撹乱が起きた。この撹乱範囲で、ケショウヤナギを中心とした先駆性樹種の更新の状態が維持できれば良いと考えている。若い樹木が多く、それに比べて母樹は少ないもののしっかり存在しているという指数関数的な樹齢分布形になれば、更新の状態が維持できると考えている。
・大きな出水後、例外的に生き残って大きくなる樹木は許容して良いと思う。大きくなる木ほど、生産のサイクルが長い。子孫を残すためにも、ある程度大きな母樹が残った方が良い。
資料(1)「4.礫河原再生の優先区間」について
・札内川の礫河原再生の取り組みが、地域での利活用や、地域の自然を守って管理していく上で実際にどのように役立っていくのか、又、地元に還元できるのか検討し、取り組んでいくことが望ましい。
資料(2)「平成26年度札内川自然再生(礫河原再生)実施計画書(案)」について
・樹木流亡面積の変化は、ダム放流の効果を表した良い結果だと思う。
・鳥類については、河川水辺の国勢調査で追跡していくということだが、札内川は植生の変化が激しいので、10年に1回ではなく、できれば5年に1回くらい調査した方が良いと思う。
・昨年の調査では、チドリ類は放流で水位上昇した範囲より高いところで営巣し、放流による影響はみられなかったという結果だった。このような調査結果は、記録に残していくことが大事だと思う。
■議題(1)まとめ・平成26年度札内川自然再生実施計画書を了承し、引き続き礫河原再生に取り組んでいく。
■議題(2)情報提供・事務局より、札内川をめぐる地域の動きについて情報提供が行われた後、以下の意見交換が行われた。
(意見交換)
・以前、札内川の上札内付近には、エゾノウワミズザクラの樹林があったが、ほとんど消失した。エゾノウワミズザクラは、更にもっと上流で細々と生き残っているのでそこで種を採取し、苗木をつくって植えてもらえれば良いと思う。
・鳥類の繁殖期に礫河原を利用する場合は、営巣していないか確認する必要がある。鳥類の巣を壊す場合があると思うので、利用する際は注意してほしい。
・「札内川懇談会」には、利活用と自然環境のワーキンググループがある。利活用のワーキングから、このような利用をしたいと提案があったときに、自然環境のワーキングがその時期は配慮が必要だと注意喚起するなど、うまくやっていけるのではないかと思う。
・札内川ダムが役立つことも、特に教育の面で子供たちに伝えていくべきだと思う。
今後の予定
・札内川の礫河原再生について引き続き本検討会で議論していく。