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船入澗防波堤(石積防波堤)とは

船入澗防波堤(石積防波堤)とは

函館港改良工事と船入澗防波堤(石積防波堤)の設計

函館港改良工事について
 函館港は渡島半島の南端に位置し、水深も深く、湾状をした天然の良港です。
 明治に入り貿易量が急激に増大し、出入港する船舶が大幅に増えたため、これらの船舶の修理に必要なドックを整備するとともに、人口の増加に伴い宅地を確保すること、そして西からの波浪から船舶を保護することを目的として、明治29年に函館区営による「函館港改良工事」を開始しました。
  • 現在の函館港・函館漁港の全景画像 現在の函館港・函館漁港の全景
函館港改修計画当時の船入澗の図
函館港改修計画当時の船入澗
船入澗防波堤(石積防波堤)の建設
 「函館港改良工事」による埋立により、函館港内への航行が不便となる漁船係留を目的として船入澗が建設され、西向きの外海からの波を防ぐ目的で船入澗防波堤を建設(明治30年(1897年)に始まり、明治32年(1899年)に竣工)しました。
  • 船入澗防波堤の空撮写真

船入澗防波堤(石積防波堤)の価値

学術的価値
 防波堤の設計には、コンクリートブロックが使用される等、北海道で最初の近代港湾施設と言えます。
 防波堤は北側に104メートル、南側に54メートルが建設され、この内の北側約100メートル、南側約10メートルが現存しており、竣工から122年を迎える令和3年現在でも防波堤として機能している現役の港湾構造物で学術的にも貴重な財産となっています。
 平成16年には土木学会より、「函館港改良施設群」として選奨土木遺産に選定され、平成18年には水産庁より「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に認定されました。
技術的価値(北海道における最初の近代港湾構造物)
評価軸 価値の内容
年代の早さ ・日本人製作の耐海水性コンクリートブロックでは最初期のもの。(函館港改良工事は明治29(1896)年6月着工、明治32年4月竣工
規模の大きさ ・改良工事全体では、コンクリートブロックと石積による防波堤及び護岸延長は約1キロメートル、コンクリートブロックは3,700個余りを使用。防波堤としても100メートル以上が現存。
技術力の高さ ・石積みとコンクリートを複合的(練積み、空積み、ブロック、目地等)に使用し、波を直接受ける外側の石積みは石の間にモルタルを詰める「練り積み工法」を採用、反対の港内側はモルタルを詰めない空積み工法を採用し、堤体内部の空気が波の動作によって圧縮されない構造。
・海中工事に使用するコンクリートやセメントに関する各種の試験を明治27年から実施。それを踏まえて施工方法を検討し、工事を実施。
・上記の調査・計画、各種試験、施工方法等を詳細に記した複数の報文の存在。
珍しさ、典型性 ・当時利用実績が少なく高価なセメントを事業全体に使用。
・石材は弁天岬台場の石材を再利用。コンクリートブロックは旧弁天岬台場内で製作。灯台はレールを芯として現地施工した鉄筋コンクリートの嚆矢的な構造。
意匠的価値(石積み防波堤特有の風格と近代港湾の幕開けを感じさせる形状(景観と機能との調和))
評価軸 価値の内容
様式 ・江戸時代の土木技術の主流である石積みと、波浪にも強い基礎を築造するために近代土木技術であるコンクリートブロックを融合した構造物。
デザイン ・石畳を思わせる小段とそこに配置された係船石。西洋式の高塔型灯台を模した小型の灯台。複数の石質が存在による独特な風合い(模様)を形成。
周辺景観との
調和
・イカ釣り漁船や函館山と一体となった地域固有の景観を形成。
・堤頭部は構造的にも考慮され、かつ門構えのような風格を有する形状。
系譜的価値(廣井勇が調査から監督まで手がけた最初の港湾構造物)
評価軸 価値の内容
地域性
・函館港内の静穏度確保と市街地造成を兼ねた埋立事業。当時高価だったセメントを地場(上磯)産とすることで、価格を抑制。 
土木事業上の
位置づけ
 ・函館区営による函館港改良工事に始まった近代港湾としての函館港整備は、その後に確実に引き継がれ、我が国有数の港町を形成。
故事来歴
・国際貿易港として安政6(1859)年に開港した函館において、我が国の近代化が波に乗り始めた時代を代表する事業。幕末に五稜郭とともに築造され戊辰戦争の舞台となった弁天岬台場で使用されていた石材を再利用。
地元愛着度 ・都市型漁港として地域に馴染み、交流型漁港への期待。函館の歴史的風土を守る会による“市民の記憶に引き継がれる原風景”に選定(H14)。 
保存状態  ・防波堤は、ほぼ竣工当時から改変を受けずに残存し、堤体自体の不陸も見られず、現役の防波堤として機能。

お問合せ先

築港課

  • 電話番号:0138-42-7635 、 0138-42-7642  0138-42-7153

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