国土交通省北海道開発局 帯広開発建設部

　札内川は、その水源を発する日高山脈をバックに、ケショウヤナギなどの河畔林の間に
広がる礫河原を流れ、雄大で特有の景観を有しています。
　日高山脈の山間部から流れ出した札内川の水は扇状地を流れ下ります。川の水は、日高
山脈が風化することでできる石礫を、古くからくりかえし運搬、堆積して、特有の礫河原を形
成しています。流れは礫河原の中で何本かに分かれて網の目のような流れを作り出します。

　このような河川を網状河川といいます。札内川は砂州の河原が広く、その中で分流と合流
を繰り返し、瀬・淵・平瀬など多様な流れを呈しています。
　水質はとても良く、全国的な水質調査でも日本一になるなど、全国有数の清流です。

　砂防施設のある上流域には渓流魚オショロコマ、ハナカジカが生息しています。渓畔林には
エゾサンショウウオが生息して、林の中の水たまりに卵を生んでいます。哺乳類ではエゾヒグ
マ、エゾナキウサギ、エゾシマリス、エゾモモンガなどが生息しています。

　渓岸にはケショウヤナギ林が広がります。ケショウヤナギは十勝川水系、渚滑川、長野の
上高地など限られたわずかな場所にしか分布していない樹木です。限られた分布域の中
でも札内川のケショウヤナギ林はきわめて規模の大きなものです。

　源流部は日高山脈襟裳国定公園となっていて、山腹にはミズナラやイタヤカエデ、シナノ
キなどが生育していますが、山岳地帯に入るとダケカンバ林が広がります。