国土交通省北海道開発局 札幌開発建設部

　 広大な低平地が広がる千歳川の中下流部では、低平地を流れる地形条件などにより、ほぼ2年に1回という頻度で水害に見舞われています。洪水時には石狩川本川の高い水位の影響を受け（背水と言う：下図参照）、長時間、そして長い区間にわたって水位が高くなります、宅地や農地などに降った雨水が流れ込むことができず、内水氾濫を引き起こしやすいのです。（下図参照）

　洪水時に高い水位が続くと、透水性の高い火山灰による堤体漏水や基盤漏水（川の水位が上がった際、堤防や堤防下から川の反対側に水が噴き出すこと）、強度が軟弱な泥炭（植物遺骸が堆積した土壌）などの地盤が多い特性による基盤すべり、さらにそれに伴う破堤などの危険性が高くなります。 　
　近年においては、昭和50年8月洪水、56年8月上旬洪水によって、それぞれ81平方キロメートル、192平方キロメートルに及ぶ浸水被害が生じました。中でも昭和56年8月上旬洪水は、未曾有の大洪水となり、石狩川の高い水位の影響を、長時間、千歳市街地付近までの長い距離にわたって受け、漏水、法崩れなどの堤防被害のほか、市街地、農地に降った雨が千歳川に流れ込めず、多大な内水氾濫による被害を受けました。千歳川流域では、被害家屋数は2,683戸、総被害額は267億円となりました。

年次	洪水記録
明治 31年	豪雨により、石狩川外各支川で氾濫 恵庭の約500戸をはじめ各村で家屋が被災した他、恵庭、広島、南幌、長沼で 各々970ヘクタール、550ヘクタール、7,189ヘクタール、 2,441ヘクタールの田畑が被災
32年	暴風雨により、全道的に被害、農作物被害大 夕張川(現在旧夕張川)で氾濫し、長沼で180戸の家屋が浸水
34年	江別川、千歳川、夕張川等氾濫 札幌支庁管内で被害を受けた家屋496戸、田畑13,000ヘクタール
37年	6月から7月にかけて、低気圧、台風により、石狩川外各支川で氾濫 南幌で378戸の家屋、3,240ヘクタールの田畑が、長沼で221戸の家屋、 1,219ヘクタールの田畑が被災
41年	5月、低気圧による暴風雨により、諸河川氾濫 漁川も氾濫し被害
42年	4月、低気圧による暴風雨に融雪が加わり、石狩川外各支川で氾濫 南幌で188戸の家屋、1,250ヘクタールの田畑が被災したほか、長沼、江別でも被害
43年	6月、本道南部を通過した低気圧により、千歳川流域洪水被害
44年	8月、台風による暴風雨により、石狩、空知支庁管内で田畑被害 南幌で1,147ヘクタール、長沼で3,702ヘクタールの田畑が被災
大正 元年	暴風雨により、千歳川氾濫 長沼で田畑被災
2年	台風により、全道各地で出水 夕張川、千歳川で氾濫
5年	低気圧により、全道的に主要河川氾濫 夕張、長沼等で被害
6年	台風により、全道的に洪水被害
7年	台風により、全道的に洪水被害 夕張川で堤防決壊
8年	5月、融雪洪水により、石狩川外氾濫 江別で470戸の家屋、2,500ヘクタールの田畑が、南幌で63戸の家屋、 940ヘクタールの田畑が被災
9年	大雨により、石狩川外氾濫 江別で田畑や140戸の家屋が被災したほか、長沼でも田畑が被災
10年	低気圧により、各地の河川が氾濫 長沼で浸水家屋800戸
11年	4月、融雪により、道内各河川氾濫 千歳、恵庭、江別などの被害大 8月、低気圧により、石狩川外各支川で氾濫 江別、南幌、長沼で各々83戸、530戸、303戸の家屋が被災し、 1,389ヘクタール、2,977ヘクタール、2,159ヘクタールの田畑が被災
12年	台風により、河川氾濫 恵庭、長沼で各々250戸、849戸の家屋が被災
13年	諸河川氾濫し、千歳川流域洪水被害
14年	諸河川氾濫し、千歳川流域洪水被害
15年	5月、融雪により、石狩川外氾濫 長沼で620ヘクタールの田畑が被災 10月、低気圧により、漁川が決壊、漁太方面泥海と化す 恵庭で田畑や253戸の家屋が被災したのをはじめ、広島でも被害
昭和 2年	大雨により、諸河川氾濫 千歳川流域洪水被害
3年	9月、低気圧による大雨で夕張川氾濫 長沼で334戸の家屋浸水
4年	諸河川氾濫し、千歳川流域洪水被害
5年	8月、大雨により江別川、夕張川、漁川氾濫 江別、恵庭、長沼で家屋等が被災 11月、再度夕張川氾濫し、長沼町で家屋、田畑が被災
6年	融雪等により江別川、夕張川、千歳川氾濫 江別で263戸の家屋、長沼で159戸の家屋、2,513ヘクタールの田畑が被災
7年	8月から9月にかけて、数回にわたる大雨により、道内の大小河川氾濫 千歳川において4,038戸の家屋、16,050hヘクタールの田畑が被災
8年	5月の融雪と8月の大雨により、夕張川等氾濫 江別、南幌、長沼で家屋や田畑が被災
10年	7月、大雨により、河川氾濫 長沼、南幌で各々450戸、70戸の家屋、2,000ヘクタール、 600ヘクタールの田畑が被災 8月、台風により、南幌で300戸の家屋、3,000ヘクタールの田畑が被災
11年	台風と低気圧による暴風雨により、河川氾濫 南幌、長沼で被害
18年	前線により、河川氾濫 千歳で220戸、長沼で156戸の家屋が被災
22年	カスリン台風により、全道各地で洪水被害 江別、長沼で各々320戸、305戸の家屋が被災するなど被害大
25年	前線により、千歳川流域洪水被害 長沼で1,464戸の家屋、2,343ヘクタールの田畑が被災したのをはじめ、 江別、千歳、恵庭、広島、南幌においても被害
28年	諸河川氾濫し、千歳川流域洪水被害 恵庭で被害
29年	5月の低気圧、8月の前線により、河川氾濫 広島で1,224戸の家屋、1,345ヘクタールの田畑が被災
30年	前線、低気圧による数回の大雨により、河川氾濫 広島で152戸の家屋が被災
31年	4月の暴風雨と融雪、8月の台風により、河川氾濫 江別、恵庭、広島、長沼で各々126戸、145戸、120戸、235戸の家屋が被災
32年	低気圧により、河川氾濫 江別で428戸の家屋が、恵庭で1,000ヘクタールの田畑が被災
33年	台風11号と前線により、河川氾濫 江別、恵庭、広島、南幌、長沼で合計282戸の家屋、1,781ヘクタールの田畑が被災
34年	寒冷低気圧により、島松川等が氾濫 千歳川全体で2,258戸の家屋、8,054ヘクタールの田畑が被災
36年	7月、前線と低気圧により、道内の大小河川氾濫 千歳川において被害家屋3,047戸、被害田畑13,765ヘクタール、 浸水面積181平方キロメートル 9月、第2室戸台風による暴風雨で、江別、千歳、恵庭、広島など家屋や田畑が被災
49年	4月、低気圧による暴風雨により、河川氾濫 千歳川全体で田畑や1,038戸の家屋が被災
50年	台風6号と前線による大雨で記録的な大洪水となり石狩川外各支川で氾濫し、 被害家屋約41,200戸、氾濫面積661平方キロメートル 千歳川において被害家屋1,047戸、被害田畑6,079ヘクタール、 浸水面積81平方キロメートル、総被害額36億円
54年	台風20号により、河川氾濫 千歳川流域3市3町で家屋や田畑が被災
56年	8月上旬、前線と台風12号により道内全域で大雨となり、 石狩川では既往最大規模の大洪水 石狩川全体で被害家屋約22,500戸、浸水面積614平方キロメートル、 総被害額1,152億円 千歳川においても被害家屋2,683戸、浸水面積192平方キロメートル、 総被害額267億円 8月下旬、前線と台風15号により豊平川、 千歳川流域を中心に集中的な豪雨となり河川氾濫 千歳川全体で田畑や1,275戸の家屋が被災し、総被害額60億円
60年	台風13号により、河川氾濫 千歳川において、家屋、田畑等が被災
62年	低気圧による局地的な大雨により、河川氾濫 千歳川全体で田畑や124戸の家屋が被災し、浸水面積は121平方キロメートル
63年	前線により、留萌川、雨竜川に記録的な豪雨 千歳川において、恵庭、広島等で被害
平成 元年	秋雨前線と低気圧により、島松川、柏木川、ルルマップ川で氾濫 恵庭、広島、長沼等で被害
2年	4月、低気圧による河川氾濫により、千歳、恵庭、長沼等で被害
4年	低気圧による大雨により、江別、南幌の7戸が被災
9年	8月の前線及び台風11号により、千歳、長沼、南幌で6戸が被災
12年	3月、4月の低気圧及び融雪により、123戸が被害 5月、寒冷前線により、千歳、長沼で被害 7月、前線停滞により、千歳、北広島、長沼、南幌で被害
13年	9月、秋雨前線及び台風15号により、千歳川流域で27戸被災
17年	8月、前線の停滞により、千歳で1戸が被災 9月、台風14号により、長沼町で浸水被害
21年	9月、大気が不安定になった影響により、千歳川流域で被災家屋27戸、 浸水面積3,139ヘクタール
23年	9月、停滞前線に動きの遅い台風12号周辺の暖かく湿った空気が流れ込み、 石狩川上流や雨竜川、空知川等で大雨が発生千歳川流域で浸水面積1ヘクタール
24年	9月、前線を伴った低気圧による降雨により、 長沼町市街地等で浸水面積50ヘクタール
25年	9月、前線を伴った低気圧の停滞により発生した降雨により、 北広島市で浸水面積1ヘクタール
26年	9月、低気圧に伴う豪雨により道内初の大雨特別警報が発令 漁川上流域で大規模な出水が発生し、恵庭市街地等で浸水面積3ヘクタール