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釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会

「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」小委員会

第9回:平成15年6月13日

 第9回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」では、先般行われた5つの各小委員会からこれまでの調査・検討内容がまとめられ、さらに今年度予定されている検討概要等について報告がありました。また今後設立される「自然再生協議会」のあり方等について議論されました。
平成15年度各小委員会で議論された内容について

【水辺林、土砂調整地による土砂流入の防止】
  • 久著呂川湿原流入部の現況
    • ハンノキ林拡大の要因は、河川周辺への氾濫・堆積した土砂や栄養塩類の影響・水環境の変化が、複合的に関連していると考えられるが、研究レベルにおいても十分に解明されてはいない。
    • ハンノキ林は明らかに、湿原周辺部もしくは河川構造物の付近から増えていることが推定されるので、水環境の変化は当然影響するものと考えられる。
  • 久著呂川の沈砂池利用方法
    • 2次元氾濫計算モデルは、河道の水位計算法、氾濫条件の設定などの改良を加え、再現性を高める必要がある。
  • 久著呂川中流域における今後の対策
    • 久著呂川上流部の土砂流入防止対策の検討は、河道安定化対策など優先順位を明確にして効率的に進めることが必要である。対策の検討・実施にあたっては、保全すべき場所や、再生すべき場所を十分に把握し計画すべきである。

【蛇行する河川への復元】
  • 予測・評価に関する調査計画
    • リファレンスサイト(比較対照区)の設定は、左右岸の植生状況の違いを考慮し設定する必要がある。
  • 旧川復元計画の基本方針
    • 治水上の安全度の確保から、右岸の掘削残土を取り払って氾濫させ、最終的に河道の直接部分を埋めるならば、社会に対して説明する必要がある。
    • 段階的に河道の復元を図る場合、海外の事例(キシミー川)を参考にし、実験的に試行するなど、何らかの検証が必要である。
    • 右岸の掘削残土の撤去は、釧路湿原本来の自然環境に合った植生回復の効果も期待できる。
    • 現状の生態系で出現する貴重種に対する配慮としては、生息地に対する保全・他に生息できる場所の確保や移植などを考える必要がある。
    • 水理計算法は蛇行河川の流れ、土砂の氾濫・推積など、現状が再現できるモデルに改良することが必要である。
  • 河道計画
    • 旧川部の掘削断面図形状、平面形状の設置は、河岸の土質強度などを考慮し、旧川の河道形状に配慮すべきである。
  • 施工計画
    • 貴重品は勿論、元々ある自然環境の良好な場所と、人為的影響により植生が変化した場所を区分して、工事施工予定箇所の工事・施工の選定理由を明かにすべきである。
    • 旧川部を掘削する際は、濁水対策を行うなど、河道内の生息生物の保全に配慮すべきである。対策方法は、投入する費用と効果を考慮し選定する必要がある。
    • 試験調査や工事の実施に際しては、専門家の意見を十分に聞く必要がある。旧川復元小委員会もその役割を果たしていきたい。

【湿原の再生】
  • 広里地区の湿原再生
    • 広里地区の湿原再生の手法として、旧雪裡川の水位を人為的に上げる検討も必要であるが、農地への影響、利水上の問題などをタスクフォース会議を通じて十分検討すべきである。
  • 幌呂川地区の湿原再生
    • 保全・再生目標は、人為的な改変が認められる地域と湿原本来の環境が保全されている地域を把握し設定すべきであり、リファレンスサイトも含めた広範囲の調査が必要である。
    • 幌呂川地区の湿原再生は、旧幌呂川への導水など、湿地氾濫原と川の一体化した再生を目指すことが必要である。
    • 湿原再生と河川との関わりは流域全体のものであり、これら小委員会で検討された結果は、釧路川流域委員会に提案していくべきである。

【湿原植生の制御】
  • 雪裡樋門湛水試験
    • 雪裡樋門試験地区で抜水後のハンノキ調査結果及び既存調査とハンノキ林の枯死と水位・湛水期間の関係をダムなど他の事例を参考に整理しておく必要がある。
    • 安原地区の湿原再生については、堤防と地下水の関係を実験も含めて調査し、再生の方向を検討すべきである。

【水環境の保全】
  • 窒素・リンの負荷量調査
    • 地域の環境の改善を図るためには、農地管理を流域単位で進めていくことが重要であるがあ、地元農家の負担が大きく、地域の理解や地元自治体及び関係行政機関の協力が必要となる。
  • 釧路湿原の水環境
  • 久著呂川での既住調査の知見を生かしながら、湿原東部の3湖沼の水質環境の悪化の原因を解明しつつ、対策につながるような調査を実施する。
  • 地下水位上昇に伴う農地への影響
    • 種施策を実施するにあたり、計画周辺の農家の理解を得るためにも、地下水位上昇による農地への影響調査が必要である。

【野生生物の生息・生育環境の保全】
  • ハンノキ林の成立要因
    • ヨシ等は、地下水位の変動量が比較的大きいところを好むということが既往検討で明かになっていることから、ハンノキ林の成立要因を分析する上でも、調査地の地下水位の変動量調査が必要である。

【保全利用の共通認識】
  • 釧路湿原保全と利用の総合ガイドマップ作成
    • ガイドマップは、子どもや高齢者、海外や長期滞在型旅行者の利用に配慮し、利用者の関心を引くような、わかりやすい内容とし、湿原利用マナー向上につながるための工夫が必要である。
  • 釧路川カヌー利用ガイドライン
    • ガイドラインの作成は、カヌー営業者などと連携を図り、作成されたガイドラインが効果的に機能していく方法を考えるべきである。
    • 屈斜路湖の事故例はこの地域の問題のみとどめることなく、今後に生かして行く必要がある。安全対策としては、ルールづくりや個人に経験に頼る部分なども含めて、周知をどのように展開していくかが重要である。
  • トイレ等のあり方
    • トイレの必要性は、子どもや女性への配慮、高齢観光客の増大する現況を踏まえ、早急な対応が必要である。
    • 設置場所の設定にあたっては、利用者、設置場所の立地条件などを十分検討する必要がある。
  • 釣り利用に関する行動方針
    • 釣りを新しい産業と捉えて、湿原の保全と釣り利用の両立を図るなどの検討が必要である。
    • 湿原保全と釣りに関する課題については、釣り人と関係する機関等との意見交換が必要である。

【環境教育の推進】
  • 釧路湿原環境教育
    • 環境教育資料は、総合学習の教材としての利用のほか、大人も利用できる仕組みを考える必要がある。
    • 環境教育資料の作成にあたっては、関係機関の協力で作成された情報を広く、安価に提供する方法を考えていく必要がある。
    • 環境教育は子供のみを対象とするのではなく、湿原内のゴミ問題など、子供の手本となるべき大人の環境に対する意識を高めることが必要である。
第9回検討委員会では次のようなことが議論されました。
 
【釧路湿原自然再生協議会について】
  • 「自然再生協議会」の設置について、次のような意見が出されました。
  • 協議会のメンバー選定にあたっては、公募に関する広報・PRを徹底させるなど、地域住民がこのことについて十分に認知していることが重要である。
  • 自然再生協議会には、「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」を中心とした多様な主体が協働する機能が必要である。参加者は自然再生事業の調査・実施・事業の普及啓発、市民参加の推進など多様な活動に参加する者が対象となる。
  • 釧路湿原という生態系のまとまりの中で様々な事業が行われる時には、協議会が作成する全体構想のもとに、各事業者、NPOなどが連携して再生を進めることが必要である。
  • 協議会の設立に向けて、メンバーの公募方法・運営のルールづくりなど国土交通省や環境省が中心となって検討中である。協議会の設立は9月以降を予定している。
  • 自然再生協議会の設立について

第8回:平成15年1月17日

 平成15年1月17日(金曜日)、釧路地方合同庁舎において第8回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」が開催されました。
 委員会では、「提言」の具体的な施策の進捗状況や、5つの小委員会(調査技術、土砂流入、旧川復元、湿原再生、湿原利用)で議論された内容、釧路湿原の環境保全に関する今後の取り組み(釧路湿原タスクフォース会議、実務会合)について報告されるとともに、釧路湿原の自然再生に関する今後の進め方について議論がなされました。
平成14年度各小委員会で議論された内容について

【水辺林、土砂調整地による土砂流入の防止】
  • 湿原流入部への土砂流入の計算モデルは、実際の現象を定性的に捉えながら検討していく必要がある。
  • 土砂調整地の河岸部については、淵が形成されるような形状を想定して断面を検討する必要がある。
  • 中久著呂地区の河床低下区間における年間の生産土砂量や下流への堆積量を把握する必要がある。
  • 下流側への土砂の供給源は、中久著呂地区の河床低下区間にあると考えられるので、早急な河道安定化対策が必要であるが、周辺農地への影響に配慮した対策の検討が必要である。

【湿原の再生】
  • 下幌路地区の湿原再生の目的は、段階的な再生目標が必要である。
  • 再生にあたり、周辺農地への影響を把握するだけでなく、幌路川、赤沼などを含め広域的に議論する必要がある。

【湿原植生の制御】
  • 湛水によるハンノキの制御効果に関する試験の目的はおおむね達成した。試験としての湛水は今年度で終了し、今後は自然な変動に沿った湛水区域の長期的、季節的な水位管理を検討していく。
  • 雪裡樋門湛水試験地の鳥類については、繁殖期の生息環境を調査し、鳥の種類のよっては時間帯を変えて調査すべきである。

【蛇行する河川の復元】 
  • 「湿原への土砂流入防止」は、一つの独立目標として設定するのではなく、蛇行河川の機能として生じる副次的な効果として扱うべきである。
  • 旧川を復元することにより生物の個体数が増えるとは限らない。目指すべきものは湿原本来の生物が生息できるような環境に戻すことである。
  • 施策実施効果量の予測評価方法は、今後、現状の予測からかけ離れた結果が出る場合の対策も考慮していく必要がある。
  • 旧川復元工事の手法は、住民の意見を反映した方法とする必要がある。

【野生生物の生息・生育環境の保全】 
  • 今後の調査において、幌呂川及び雪裡川周辺のハンノキは氾濫の影響を受けていることが判明し、調査前に想定していた仮説を裏づけるようなデータが出た。今後は流水の影響を直接受けているハンノキの状態を調査し、今回の結果と比較検討する必要がある。

【保全と利用の共通認識】
  • 湿原に関する様々な利用情報を図面に整理した「釧路湿原保全と利用の総合ガイドマップ」を作成し、利用者への情報提供を充実させる。
  • 釧路川のカヌー利用にあたっての必要なルール、マナー等の情報を広く一般に示す必要があり、カヌー関係視野とも連携の上、「釧路川カヌー利用ガイドライン」の作成について検討する。

【環境教育の推進】
  •  優れた自然環境を持つ釧路湿原が、総合学習等の教材になるよう、利用しやすい環境教育の資料等を委員会として作成していく。
第8回検討委員会では次のようなことが議論されました。
 
【調査技術について】
  • 釧路湿原における地下水位等の各種観測地点の位置や内容を容易に把握できるよう、観測地点毎に、コード番号による共通の整理番号を付与する方法を考えている。
     
【土砂流入について】
  • 湿原の土砂堆積や乾燥化対策として、提言の具体的施策の数値目標となる土砂の定量的、定性的状態を把握するため、実測やシミュレーションモデルの構築等で検討を進める必要がある。

【旧川復元について】
  • 茅沼地区の旧川を復元することで、現在の釧路川直線部分の地下水位の低下等、環境の変化が考えられるが、上流農地への影響などの制約条件を踏まえ、環境影響対策を複数案検討する必要がある。

【湿原再生について】
  • 現在の雪裡樋門の湛水施設は、水路に落差があり回遊性の魚類が遡上出来ない状況なので、今後、樋門改築時における魚道の設置の検討が必要である。
  • 雪裡樋門の湛水試験としての結果は得られたが、今後、当地区の湿原再生の目標を検討する必要がある。
  • 広里地区の湿原再生により出現する植生の種類や水位状況は、現データの範囲である程度の予測が可能である。

【湿原利用について】
  • 湿原の利用と保全に関する共通認識と行動方針の実現化にあたっては、検討ワーキングの進め方として、できるものから実験的に試行し、反応を見ながら面に検討を進める方法も考えられる。

【釧路湿原の自然再生に関する今後の進め方について】
  • 自然再生推進法に基づく紙是再生協議会の設置については、「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」等の現状の枠組みを基本にすべきである。
  • 釧路湿原保全に関する現状の枠組み

第7回:平成14年3月4日

 学識経験者や行政機関等との連携を図りながら、釧路湿原の河川環境保全・管理に関する取り組みを行うための第7回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」が平成14年3月4日、釧路地方合同庁舎において開催されました。
 同委員会では、5つの小委員会(調査技術、湿原再生、旧川復元、土砂流入、湿原利用)で議論された内容について報告されました。さらに、「釧路湿原の河川環境保全に関する提言」に示されている具体的施策の進捗状況及び平成14年度以降の計画について報告されました。
平成13年度各小委員会で議論された内容のまとめ

【水辺林、土砂調整地による土砂流入の防止】
  • 土砂調整地のシュミレーションによる土砂堆積量については、モニタリングにより現地で確認する必要がある。
  • 土砂調整地の土砂堆積効果と周辺地域への影響等について検討すべきである。
  • 土砂調整地の維持管理はビオトープ機能を保つ検討が必要である。

【植林などによる保水、土砂流入防止機能の向上】
  • 自然裸地に加え、林道・作業道路等の人工裸地についても裸地対策を考えた方がよい。

【湿原の再生】
  • 雪裡樋門地区における現在までの湛水試験結果を理論的、生態的観点から捉えると、湿原再生は可能なはず。さらに、調査・検証を徹底的に進めていくべきである。
  • 現在の湛水試験地の状況は、昭和30年代の融雪期と同様の風景が見られ、当時はタンチョウや水鳥も生息していた。よって、現在の水位を湿原再生の目安とすることも考えられる。

【湿原植生の制御】
  • 雪裡樋門周辺の湛水試験結果によってハンノキの成長を制御する効果が得られたが、生態に関する詳細については解明されていない部分もあるので、試験を継続する必要がある。
  • ハンノキの樹齢を調査して、年代別のグループ分けを行い、湿原再生の目標年代を検討する必要がある。

【蛇行する河川への復元】
  • 茅沼地区における旧川復元試験内容を「旧河道を全掘削する」で修正し、調査を実施すること。
  • 昔の河道への復元は、河川周辺も含めて元の湿原状態に戻すことであるが、地域の実情も考えなければならない。
  • 旧川に生息している生物を移植する場合は、現在の生息環境を十分把握した上で移植を行い、モニタリング調査を持続する必要がある。
  • 旧川復元試験の評価を行う場合には、地域に応じてハビタット評価種を選定する必要がある。

【水環境の保全】
  • 湿原内に設置する地下水位観測所には、位置関係を明確にするためにも一連の観測地点名を整理すべきである。

【野生生物の生息・生育環境の保全】
  • 今後の湿原再生事業において、確認された貴重種等の動植物に関する資料の取り扱いは慎重にすべきである。

【湿原の調査と管理に関する市民参加】
  • 流域住民に環境教育等を通して、湿原保全事業への理解を求めてもらうべきではないか。

【保全と利用の共通認識】
  • 釧路川流域に既存するトイレの場所や使用可能な期間等の情報を提供し、トイレの活用を促進する必要がある。
  • カヌーの乗降箇所にゴミの投げ捨てが目立つので、看板等を設置してマナー向上を図るべきである。
  • 利用者のマナー向上によって湿原の負荷要因が軽減されるのではないか。
  • 湿原利用者に対しての利用規制を考えるより、情報提供を行って、利用者のモラル向上を図るのが先決である。

【環境教育の推進】
  • 雪裡樋門流域で、湿原再生に理想的な箇所をまず再生してみて、多くの人が見学できるようにしてはどうか。

【調査データの扱い】
  • 釧路湿原の自然環境保全を効率的に行うには、調査データや研究論文等のデータデース化を図ることが必要である。
  • 釧路湿原に関する研究論文等の文献資料については、集約する場所や、収集した資料を整理して検索できるような体制づくりが必要である。 
第7回検討委員会では次のようなことが議論されました。
 
【土砂流入防止対策について】
  • 土砂発生量を具体的に把握するためにも、発生源を詳細に調査するべきである。

【湿原再生について】
  • 施策の実施については、問題が発生しても修正可能な、小規模な範囲で実施すべきである。

【利用について】
  • 流域住民に湿原保全の必要性についてより一層の理解を深めてもらうために、環境教育等を行うべきである。
  • 小学校から通して環境教育が行われることが期待される。

【具体的な施策の実施について】
  • 今後の具体的な施策実施についても、地元の地権者や各関係機関と十分な協議を行う必要がある。

【今後の委員会のあり方について】
  • 湿原保全事業への市民参加を積極的に働きかけるべきである。また、教育委員会等を通じて、学生等の若年層の参加を考えていく必要がある。
  • 各小委員会の内容に応じて、専門家の座長を設ける必要があるのではないか。

第6回:平成13年3月1日

 北海道開発局は、学識経験者や行政機関等との連携を図りながら、釧路湿原の河川環境保全・管理に関する取り組みを行うための第6回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」を平成13年3月1日に開催しました。委員会では、5つの小委員会(土砂流入、湿原再生、旧川復元、湿原利用、調査技術)で議論された内容について報告するとともに、釧路湿原の河川環境保全に関する提言(案)について熱心な議論が行われました。
第6回検討委員会では次のようなことが議論されました。
 
【芽沼地区の旧川復元試験について】
  • 旧川への導水については、充分なシミュレーションとモニタリングを行い、周辺の農業者、漁業者への配慮が必要である。
  • ふ化事業を実施している漁業者からは、稚魚が降下するための川の道筋が本川と旧川の2つあると困るので1つにしてもらいたいとの要請が出ている。河道を本川から旧川に切り換えるなら時間をかけず一気に行うべきと意見があった。
  • 旧川復元試験のPRのため、一般の方が実際に見て分かり、試験のデモンストレーション的な見学地を設定することが必要である。また、定期的に試験の状況写真をHP等で公開する等映像で見せることを考えるべきである。
  • 旧川に水が流れると、自然に州が発達して蛇行を行うので、現在考えられている試験方法で復元を期待できる。

【提言(案)について】  
  • 「水辺林、土砂調整地による土砂の流入の防止」は、まず第一に、流域負荷の発生源対策を考えなければならない。
  • 「湿原の再生」は、地下水位を上げて湿原の再生を図ることではなく、植生の回復を図るために地下水位を維持することである。また少なくとも1年間は地下水位を測定しモニタリングする必要がある。
  • 「野生生物の生息・生育環境の保全」の指標生物に、魚類、植物としてはイトウ、ヤチボウズをつくるカブスゲ群落が適している。
  • 「景観保全」は、湿原だけでなく、釧路川水系全体の景観を保全するように考えるべきである。
  • 「保全と利用の共通認識」の進め方に、利用の観点から必要な施設の整備、利用のルールの施行、検証を行うことを加えるべきである。
  • 「施策の有効性の検証」については、各施策の試行の結果を基に実施することが必要である。
  • 具体的施策イメージ

第5回:平成12年11月11日

 北海道開発局は、学識経験者や行政機関等との連携を図りながら、釧路湿原の保全、管理の進め方について検討を行うための第5回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」を平成12年11月11日に開催しました。
 委員会では、5つの小委員会(土砂流入、湿原再生、旧川復元、湿原利用、調査技術)で議論された内容や、前回の検討委員会で提示した“釧路湿原の河川環境保全に関する提言(素案)”について流域からの意見聴取結果等が報告されました。
 また、各小委員会で議論された結果や流域からの意見聴取結果より修正した提言(案)の現状と課題や目標、具体的な施策について熱心な議論が行われました。
第5回検討委員会では次のようなことが議論されました。

【1.長期的な目標として1980年代とすることは】
  • 植生の保全目標について、1980年代の植生の状態を維持する。一般の方にも分かり易いように、流域や負荷量がどのように変わっていくのか図等を用いて説明する必要がある。
  • 長期的な目標を1980年以前に戻すのは当時のデータもなく非常に難しい。湿原保全の目標が、なぜ1980年代なのか説明する必要がある。

【2.当面の目標を達成するための流域環境】
  • 流域からの負荷要素である窒素、リン、栄養塩については、流域内の家畜頭数との関係から目標設定を行うことは可能であるが、流域からの負荷の発生源対策を計画するのは容易ではない。
  • 昔の蛇行河川の掃流砂量や湿原への流入量等、目標値を考えるには、具体的なデータがないので現状から推測するしかない。
  • 旧川復元、再蛇行化の目標、効果、実施する意味付けを明確にする必要がある。
  • イトウをはじめとするサケ科の魚類を旧川環境の指標生物として考える場合、現状の旧川水質は良くないので、釧路川本川の水を大量に旧川へ流す必要がある。
  • 指標生物を設定するのはよいと思うが、旧川復元によって、そこに生息分布する生物種に色々な影響が考えられる。全ての生物種に良い影響を与えるように復元を行うことは難しい。

【3.その他】
 1)具体的な保全対策
  • 久箸呂川、幌呂川、雪裡川は、土砂堆積により河床が上昇しているが、長期的に河道を安定させる必要がある。
  • 当面の負荷量は沈砂地的なものを設置して対応する。浮遊砂、掃流砂については原因、内容に分けて考える必要がある。
  • 河道の移動床実験から、直線河道は蛇行することが確認されている。この実験結果等から河道計画を立てて、掃流砂を抑制することを考える必要がある。
  • 旧川に通水する場合は、現河床に未分解の有機物が溜まっているので、慎重に考える必要がある

 2)農業者からの意見聴取
  • 湿原保全は、農業者の意見も取り入れながら進めていく必要がある。
  • 農業者も各々湿原保全に対して考え方が違う。
  • 地元農家の中には、何千年もかかって湿原になった土地を適正な農地に転換するのは難しいとの認識がある。むしろ、釧路遊水地の区域に編入し、湿原に戻してしまう方が良いという意見もある。

 3)流域連携
  • 湿原そのものの保全も意義があるが、釧路川の河川環境保全も重要である。景観づくりや川の利用は流域市町村、団体が一体となって進めていく必要がある。
  • 流域連携を図る上で、保全プランを策定した北海道の役割も重要である。

 4)ハンノキ林調査
  • ハンノキ林の増加は萌芽のみだけではなく、実生もあると考えられる。人工衛星の画像を使用してバイオマス量をある程度の精度で測定できると聞いている。湿原内に実験区を設定し、その部分のバイオマス量を現地測定量と衛星写真とでつき合わせて結果を比較しながらハンノキ林の増加について考えていく必要がある。

 5)釧路湿原川レンジャーによる鳥類モニタリング調査
  • 鳥類のモニタリング調査のうち、鳥類の同定は専門的で難しいので、川レンジャーにはタンチョウなど分かり易い種をいくつか選んで、それについて数や生息範囲等をモニタリングしてもらう方がよい。また調査野帳については記入例をつける等わかりやすくする必要がある。

 6)その他
  • 提言での流域という言葉は、水系という広い意味で解釈すべきである。
  • 釧路川そのものの魚類、植生等の調査、景観の問題、カヌーの利用、農業、湿原としての水がめ効果の問題等も重要なことである。
  • 平成8年に北海道が釧路湿原保全プランを策定しており、毎年、年度末に推進会議が開催され、関係行政機関との連絡調整が図られている。今後、関係行政機関との連携を図る上では、北海道の役割も重要である。
  • 今回議論した内容を各小委員会で十分検討して、提言(案)の修正を行うものとする。

第4回:平成12年7月17日

 北海道開発局は、学識経験者や行政機関等との連携を図りながら、釧路湿原の保全、管理の進め方について検討を行うための第4回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」を平成12年7月17日に開催しました。
 委員会では、小委員会や河川区域指定、釧路湿原川レンジャー活動について報告されるとともに、釧路湿原の河川環境保全目標や目標達成のための施策について熱心な議論が行われました。

「釧路湿原の河川環境保全に関する提言」について

【提言の位置づけ】
  • 本委員会は、任意の委員会であり、提言は法的拘束力をもつものではない。
  • 本委員会における提言は、釧路開発建設部をはじめ、関係機関、地方自治体などに対しても行うものである。
  • 釧路開発建設部は、本提言を河川法に基づき今後策定する釧路川河川整備計画に可能な限り反映させるものとする。

【提言の特徴】
  • 現状と課題、目標、施策及びその他からなる。
  • 具体的な年次や数値目標を定めることを基本とする。
  • 委員会は、提言の検証、見直しを行う。

第4回検討委員会では次のようなことが議論されました。

【釧路湿原の河川環境保全目標について】
  • 釧路湿原を保全する当面の目標について、1980年代の流域環境からの負荷は、既に高い状態にあったと想定されるので、1970年代まで遡る必要があるのではないか。
  • 負荷の問題の一端は河川改修にあることも考えられ、負荷の影響について充分調査する必要がある。
【目標達成のための施策について】
  • 目標達成のための施策は多方面にわたっているので、5つの小委員会で集中して議論する必要がある。
【施策の有効性の検証について】
  • 目標達成のための施策の有効性についての検証は、“委員会が責任を持って継続的に評価を行うものとする”と表現されている。これらの施策について、関係機関、市町村が積極的に取り組むことを期待する。

第3回:平成12年2月24日

 北海道開発局は、学識経験者や行政機関等との連携を図りながら、釧路湿原の保全、管理の進め方について検討を行うための第3回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」を平成12年2月24日に開催しました。
 委員会では周辺住民に対して行った釧路湿原に関する意向調査結果や、釧路湿原に関する平成11年度調査結果、平成12年度調査計画について小委員会の経過とともに報告され、オブザーバーも含め熱心な議論が行われました。
第3回検討委員会では次のようなことが議論されました。
  • 沼幌地区の直線化された釧路川の一部を蛇行した旧河道に戻すことは、湿原本来の河川に戻すことであり、現在より多様性が多少損なわれる可能性があることを念頭に置きながら検討していく必要がある。
  • 天然記念物の保護と活用を図る観点からも釧路湿原に関する意向調査は有意義であり、これを踏まえて、湿原の環境教育の指導者の養成、確保について考えていかなければならない。
  • 実験的な小委員会は、原因が判明するような仮説を提示しながら進めていくべきである。特に、生物系と物理系を相互に議論しなければならないので予測も含めて議論を展開する必要がある。
  • 湿原利用小委員会では、湿原利用と保全について、地域の様々な利用の立場からの議論や合意形成を図っていけるような場にすることが必要である。
  • 湿原観察会などの釧路湿原川レンジャー活動は、なるべく多くの方に参加してもらえるように、広報活動を周知徹底する必要がある。

第2回:平成11年11月11日

 北海道開発局は、学識経験者や行政機関等との連携を図りながら、釧路湿原の保全、管理の進め方について検討を行うための第2回「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」を平成11年11月11日に開催しました。会議に先駆け、ヘリコプターで上空より釧路湿原の観察や、バスで湿原や流入支川を観察する現地観察会を行いました。
第2回検討委員会では次のようなことが議論されました。
  • 雪裡川、幌呂川合流点では、ハンノキが繁茂している。湿原中央部は、湿原らしく見え、 ヨシ、スゲが広がり、昔の蛇行した川がいい状態で残っている。
  • 湿原内部にエゾシカの踏み跡が多い。エゾシカが入りやすい環境になったのではないか。
  • 湿原景観という観点でみると直線の部分が、よく目に付くという気がした。
  • ハンノキの分布など植生の変化は、土砂流入だけが原因とは思えない。自然堤防による標高、地下水、土壌の粒度などの他に水質も影響しているように思う。
  • 自然の川は蛇行するもので、直線化した川では中州ができて蛇行している。沼幌を昔の蛇行した川に戻すのであれば、自然の川をよく調べること。
  • 地域の人々が湿原をモニターできる制度の創設や、中心となるリーダーを育てていく必要がある。
  • 湿原に関する住民意向調査については、インターネット等により流域外の意見も募集すること。
  • 湿原に関する既存資料の収集については、データ利用のルール作りや資料を整理する窓口を決める必要がある。

第1回:平成11年9月20日

 釧路川の下流に位置し貴重な自然環境を有する釧路湿原は、その面積の減少とともに、土砂の流入などによる乾燥化が進行しつつあり、保全が求められています。北海道開発局は、学識経験者や行政機関等との連携を図りながら、釧路湿原の河川環境保全・管理に関する取り組みを行うための「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」を平成11年9月20日に設立しました。
第1回検討委員会では次のようなことが議論されました。
  • 具体的な釧路湿原の保全目標を設定し、それに向けて対策を検討すること。
  • そのためには、地域住民や利用者がどのような湿原の保全、管理を求めているのか意見をきくこと。
  • 各種機関が行っている過去の釧路湿原に関する調査・研究を収集し、整理すること。
  • 今後実施する調査の方法について、各委員の指導を受けること。
  • 原因の究明と並行して、試験的に対策を実施すること。

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